アンドレイ・ルブリョフのレビュー・感想・評価
全5件を表示
偉大な画家と信仰と、彼が生きたロシアの歴史
「真の芸術的イメージは、それを見るものに、必ず、複雑で、矛盾した、そしてときとして相互に排除し合う感情を同時に体験させてくれるのである」(アンドレイ・タルコフスキー)
15世紀ロシアの偉大なイコン画家アンドレイ・ルブリョフを題材にした映画。
だがタルコフスキー監督にかかれば、ただ彼の人生やイコンの制作過程を描く映画ではありえない、と思い知らされた。
むしろ、当時の歴史的なロシアの状況 (タタールの襲来、民衆の貧困と堕落)、及び彼個人の人生経験 (同僚の嫉妬と離別、キャリアの葛藤、罪を犯すこと) などから、彼が如何にして歴史的なイコン画家になったか、という内面が描かれる。
タルコフスキー監督は、トルストイの『戦争と平和』を好んでいたということなので、ロシアの歴史に根差した映画を志したのは、自然なことだったのだろう。
残酷で痛々しいシーンが数多く描かれるが、当時の民衆の苦しみを映画という短時間で感じ取るためには、正しい表現だと感じた。
何故信仰が人々にとって重要な意味を持っていたか、ということを理解するには、日常の生活の延長線上から切り離された感情が必要であったと思う。
貴重な体験をした。
冒頭の引用のように、偉大な画家の中にあった苦悩や矛盾や葛藤を感じさせられた。
それと同時に、すべてのタルコフスキー監督の作品がそうであるように、無上の優しさに包まれるような感覚もある。
監督の意図を表現し尽くすアナトリー・ソロニーツィンの演技が素晴らしい。
見るのがつらいと思ったが、また見たくなるのは不思議だ。
実在した画家の話だけど、絵の話じゃない…
すごい映画のようだが…
3時間強のアンドレイ・タルコフスキー監督作品。
映像の素晴らしさには唸らされたのだが、神・キリスト・信仰・国家風刺の弾圧などなど断片的には分かる感じはするが、自分には難解な映画だった…(^^;
理解し難くて、唸らされた。
序盤の「カメラが浮遊するような場面」から始まって、戦争シーンなどのカメラワークは素晴らしいし、旧ソ連の雨・雪・水面などの自然を捉えた風景も美しかった。
「観る人が観れば、きっと、すごい映画なんだろうな……」とは思えたものの、自分のような凡人には難しい映画だった。(好みもあるかも……)
(※)評点は付けない。
タルコフスキーの雨の場面は心を暖かく包んでくれるように感じる。
日本では1974年に封切られた。僕はその翌年に特別上映とかで、銀座のフィルムセンター〔?〕で見ている。何故覚えているか?理由は簡単。大学に落ちて、浪人するのを決めた日だからだ(たぶん)。
兎に角、今日全てのストーリーが繋がった。
印象としては、社会主義的解釈をした、ソ連の映画だと言う事だ。いささか、アナクロな感じもするが、タルコフスキーが、最後にソ連を捨てた事実を考慮すると、隠されたメッセージがこの映画にはあるのかもしれない。
イコン絵画に対する含蓄が無いので、リュブリョフの偉大さは分からない。しかし、この映画は彼の伝記ではないのは一目瞭然。さて、ソノメッセージはどこに?
タルコフスキーの雨の場面が僕は好きだ。僕の主観で、偏見を述べるが、七人の侍の雨の戦いシーンに対して、タルコフスキーの雨の場面は、心を暖かく包んでくれるように感じる。こじつけでキザかもしれないが。
2024年8月11日トレチャコフ美術館にアンドレイ・ルブリョフのイコン画を見に来た。
学芸員に聞いたら、三位一体はアンドレイ・ルブリョフかどうか分からないそうである。全部で6枚見る事が出来た。今日は映画は未鑑賞。
許されたし。モスクワは遠かった。
全5件を表示