仁義(1970)のレビュー・感想・評価
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仁義礼智忠信孝悌!
何故、仁義なのだろうか?
多分、男の友情だろうから。
しかし、運命のいたずらで出会った男たちの友情と裏切りとか言うが、刑務所を出所したばかりの日に、警官から逃走した男と車のトランクで出逢い、その男が自分の追っ手二人を銃で殺してしまう、なんて数学的にほぼゼロだと思うが。一日か二日の出来事なんて、そんなのある!?
だいたい、狡猾な警官から、手錠の鍵を外し、列車の窓を一撃で割って、走っている列車から無事に飛び出せる確率ってほぼゼロだと思うが。
刑務所の所長から『簡単だから』と持ち掛けられて、簡単に出来るような強盗とは思えない。
『勝手にしやがれ』の監督なんだ。ウマシカなありえない犯罪映画。勿論、最後もあまりにも稚拙。
この頃のフランス映画に日本人は翻弄されてはならない。つまらない話や、くだらない話や、屁理屈コネたような話ばかり。こんな話作るなら、反ベトナム戦争の話くらい作って貰いたかった。ベトナム戦争は、フランスが影の立役者なのだから。悪い意味で。
罪と縁と義理
邦題のセンスがもうひとつ?
原題は”Le Cercle Rouge”
人は赤い輪の中でいずれ必ず出逢うという…。
台詞は極めて少なく、演技から心情を汲み取る必要があります。言葉でご丁寧に説明されると興醒めするので、こういう作風のほうが好みですが、全部読み取れたかどうかは自信ありません。結構上級者向けかも?
凄腕警視Matteiは、狡猾な手口を使うけれど、護送中に電気を消したり喫煙をやめたり、眠そうなVogelを気遣う様子も。知ってか知らぬか最後までMatteiを殺せるのに殺さないVogel。
何事にも動じないCoreyは、煙草とライターのやり取りでVogelと以心伝心。即席男の友情。恩に報いようとCoreyの窮地を救うVogelの判断は、Coreyの逃走の成功率をあげ、かつMatteiも救うため?
渋いJansenは、金よりアル中克服を優先。取り分は若い2人に譲ったのに最後まで付き合う。
情に厚いと言われる父親に似たのか、大麻仲間をパクってしまい自死を選ぶSantiの息子。さすがのSantiも息子のためなら口を割る。
射殺したのがかつての同僚Jansenと知り愕然とするMattei。
歳を重ねて「悪」の方に流れたJansenは、Matteiの上司の性悪説そのもの。部下にも容赦なく疑いの目を向けるこの上司の持論に、最後Matteiは納得したのか…。
断片的に見れば、「輪の中」の人間は皆罪人なのだけれど、罪人の中にも義理人情はあり、保身の為に裏切った者だけが無事に生き残りました…。
罪人であっても、悪人ではない。
それが人間の本性でしょうか。
窓ガラスを開ける音は結構大きくて、警備員が気付かないのは不自然でしたが、強盗シーンは観ているこちらまでドキドキ。さすが皆さんプロ、手馴れておりました。五右ェ門不在の、怪盗ルパンと次元という感じ。
武装しているとは言え背後から逃走中の犯人達を射殺していいのかよく分かりません。それこそ警察の罪なんでしょうか。
Alain Delonはいつになく悲哀を秘めた眼差しをしておりました。
Yves Montand演じるJansenが、幻覚でベロベロだった男と同一人物とは思えないほど見違えた紳士で、二度見三度見してしまいました。わざわざ構え直して狙い撃ちする所も格好良い。ヴィトンの旅行鞄がそのままタンスになっている(^^)。
インテリア、特に照明器具がとてもお洒落でした。ニャンコ達が可愛かったです。
噛むほどに味わいの出る作品でした。
“All men are guilty. They’re born innocent, but it doesn’t last.”
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