「小学生にして、これが人生初体験となったアラン・ドロン映画」仁義(1970) アンディ・ロビンソンさんの映画レビュー(感想・評価)
小学生にして、これが人生初体験となったアラン・ドロン映画
’70年の作品である。
なんの予備知識もないまま、名画座の三本立て作品の1本として観た、というか観てしまった?、劇場で観た初めてのアラン・ドロン映画となった作品。
リバイバル公開された「さらば友よ」よりもこちらを先に観ている。
だから、アラン・ドロンという名前だって、何処かで聞いたことがある、なんか(ハンサム系とか)で有名なヒトじゃなかったかな程度の認識。
当時はまだ小学生だったから、それまでの日常はその殆どが(子供を意識している)勧善懲悪的なモラリーなものなどだった。漫画本、TVマンガ等も、TVドラマとかだって。
まだTVの「ルパン三世」なんか存在しない。
そうした時代、年齢にして初めてこうした映画の洗礼を受けた作品であろう、かつ生涯脳裏に焼き付いて離れないモノ。
そもそも、犯罪者=悪人=暗黒街の人物たちが主人公?
その者たちが引き起こす犯罪がストーリーって??
しかし、そんな事はすぐに関係なくなる。
生々しい主人公たちの描写に、そんな事思ってる間も無く、どんどんと引き込まれて行ってしまい、余計なこと考えたり退屈してなど居られない、画面から目が離せない状態のうちに終盤を迎えてしまった。
結末からすれば世の常の、お決まりのように「悪者は滅んで、正義(警察)が勝利する」のであるが、それだけでは済まない、説明がつかない、そうした事を超越した、凌駕してしまう何かを感じてしまったのだ。
この映画から、その後の映画人生の全てが始まってしまったようにも思える。
因みに日本公開版は3時間は無く、短縮されたアメリカ公開版に準じた2時間半は無いくらいの「レッド・サークル」バージョンだったか?
というのは、後のレーザーディスクや初期DVDで発売されていたのは、そちらのバージョンでガッカリさせられたから。
現在のDVD等はフランス本国オリジナル版のノーカットで鑑賞可能となった。
遅ればせながら、公開から数十年経ってサウンドトラックも発売されたことには全くのビックリでした。
今思うに、恐るべき映画とそれに出会ったしまった恐るべき小学生の運命かな(!?)