私重役様よ

解説

「進め女性軍」「花嫁選手権」と同じくマリー・ドレッスラー、ポリー・モーラン共演喜劇。監督は「若き血に燃ゆる頃」「メリケン押切帳」のサム・ウッドで、ゼルダ・シーアスが書き下ろした物語を「僕の武勇伝」と同じくシルヴィア・サルバーグとフランク・バトラーが共同脚色したもの。助演者は「花嫁選手権」「処女読本(1932)(1932)」のアニタ・ペイジ、「処女読本(1932)(1932)」「女学生の日記」のノーマン・フォスター、「シマロン(1931)」「歓呼の涯」のフランク・ダリアン、子役はジャッキー・リン及びジェリー・タッカー等で撮影は「ニューヨークの歩道」「花嫁選手権」のレナード・スミスの担任。

1932年製作/アメリカ
原題または英題:Prosperity

ストーリー

アメリカの中部の小さい町ウォレンスバーグのウォレンスバーグ銀行の頭取は女でマギー・ウォレンというのがその名である。マギーの何代か前のウォレンがこの町の開拓者で、町の名もウォレン家の家名に因んでつけられたものである。彼女は夫に死に別れ、銀行の頭取として男勝りの立派な仕事をしてきたのだった。彼女の息子ジョンは彼女の喧嘩友だちのリジィ・プラスキンスの一人娘ヘレンと愛し合って結婚することになった。その結婚の日マギーはジョンに頭取を譲った。かくてジョンとヘレンは幸福な家庭を営み、バスターとシシィという一男一女をもうけた。ところが不景気の風はこの小さい田舎町をも襲って、銀行や工場の閉鎖が隣接の町々で相次いで起こった。クリスマスの夜、ジョンはヘレンの母親リジィと争論して酷く彼女を怒らせてしまった。翌日リジィは銀行に行って預金全部を引き出した。それが噂を産んで銀行は取り付けに合い、休業のやむなきに至った。マギーは私財十万ドルを投じて危機を救おうとしたが彼女の知らない間にそれは建築事業にジョンが投資してしまっていたことがわかった。マギーは不動産全部を競売に付して、困っている預金者たちに返済しその他の預金者には半年後の銀行開業を誓約した。かくてジョン夫婦もマギーもリジィの家の厄介になることとなったが、喧嘩の絶え間はなく、ついにジョンは妻子を残して母のマギーとともにリジィの家を飛び出して八百屋の二階に間借りする身となった。マギーは妙計をたてて資本難となった建築事業を促進させて努力の結果ついにビルジングは竣工した。ところがジョンはこれより先、竣工の覚束ないのを案じて、保証に入れた母親の十万ドルの公債を取り戻すために、偽りの竣工広告に署名していた。そして手元に戻った公債を信じていた友人に持ち逃げされた。ジョンはそのことで母のマギーと口論して飛び出した。マギーはせっかくビルジングはできたが、十万ドルがなくては銀行再開が駄目なので、自殺して生命保険金十万ドルをジョンに与える決心をし毒薬を飲んだ。一方ジョンは公債奪還に出かけ進行中の列車に飛び乗って乱闘の末取り戻して帰ってきた。マギーが飲んだのは毒薬のレッテルを貼ったヒマシ油だったので彼女は死なないで済んだ。かくて銀行はめでたく開業し、ジョンとヘレンとの仲も普通とになった。

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