ロシア探訪飛脚

解説

「米国の暴露」「ドクターX」のリー・トレイシーが主演する映画で、ベラ・スベワック、サミュエル・スペワック共作の舞台劇を作者自ら映画用に書き改めて台詞を書き、「燃ゆる海原」のデルマー・デイヴスが脚色に当たり「太平洋爆撃隊」「秘密の6」のジョージ・ヒルが監督に任じ、「鉄青年」「海行かば(1930)」のパーシー・ヒルバーンが撮影した。助演者は「婦人にお給仕」のベニタ・ヒューム、「待ちかねる処女」「夫婦戦線」のユーナ・マーケル「自由の魂」「歓呼の涯」のジェームズ・グリースン、C・ヘンリイ・ゴードン、アラン・エドワーズ、リア・リス、ローレンス・グラント等。

1933年製作/アメリカ
原題または英題:Clear All Wires

ストーリー

現代の無責任なジャーナリズムは読者の注意を刺激するためには途轍も無い大ヤマカンな記事をも臆面もなく大見出しで掲げる。シカゴグローブ新聞の欧州特派員パックレイ・ジョイス・トマスはそうした潮流に乗って最も有為で、しこうして最も無責任な特派員である。彼はソビエトの領袖達を会見して素晴らしい記事を取ってくると社長に大言して、パリからモスクワに乗り込んで行った。モスクワに乗り込むと彼は忽ち競争相手の他社の特派員ペチングウェイトのホテルを強奪したばかりか、その道案内になる秘書のコスチャまで取り上げてしまった。だが、彼が困った事には彼がパリで懇意になった元コーラス・ガールで今は社長の妾になっているドリーを同行してきた事で、この事が社長に知れては一大事になるとそれを心配していた。で、彼はドリーを他のホテルに住まわせ同じく特派員たるケイト・ネルソンにその世話を頼んで置いた。だが、トマスの想定たるソビエト領袖との会見はなかなか事が進捗しないのみならず、インタビューした男が大の夢想家の革命急進派であったりしたので弱ったりした。で、このソザノフという男には、世界がひっくり返るような事件を起こしたなら新聞に書いてやると云って、それを追い払った。がその内にあまりトマスに出し抜かれたので、業を煮やしたペチングウェイトはトマスとドリーの関係をトマスの社長に報告したので、トマスは直ちに首になった。これには弱ったトマスはギャング上がりの部下レフティと計って何か一大事件を捏ね上げそれを特種に報道する事によって復職させて貰おうと考える。で、ロマノフ王朝の末裔アレクサンダー公暗殺事件を考え、公を己のホテルに呼び寄せてこれをレフティーに射殺させる事にする。ところが射撃時になって公の代わりにソビエトの秘密探偵局長がきてしまう。トマスは秘密探偵局長を殺させては身の破滅になるので自分が飛び出して局長の身代わりに撃たれる。ところがこの身代わり事件のために彼は一躍して英雄となり、シカゴの社長家らは復職の上に増棒までする賞電が舞い込んできた。が、これも束の間、トマスのアレクサンダー公射殺計画の事がベチングウェイトによって暴露されてトマスは再び死地に陥ったが、射殺の真犯人はサザノフだということに言いくるめ彼は解放される。で、トマスは甞てから彼を愛してくれていたケイトと結婚し、再び世界を驚かすニュースを探すべく中国に赴任して行った。

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