マンハッタン・カクテル

解説

「暗黒街の女(1928)」「人生の乞食」等主演のリチャード・アーレン氏と「金は天下の廻りもの」「親爺若返る」主演のナンシー・キャロル嬢との第一回共演映画で、「恋人強奪」「モダン十戒」等と同じくドロー・アーズナー女子が監督したもの。原作は「夫人に御給仕」その他のアドルフ・マンジュウ氏主演映画の原作者エルネスト・ヴァイダ氏が執筆し、脚色は「ショウ・ダウン」「ラフ」のエセル・ドハーティー女史が担当した。助演者には「三罪人」「娘十八映画時代」のポール・ルーカス氏、「娘十八コーラス時代」「アメリカ美人」のリリアン・タッシュマン嬢、「荒療治一手引受」のダニー・オシア氏等である。

1928年製作/アメリカ
原題:Manhattan Cocktail

ストーリー

フレッドはバップスを愛していた。そしてバップスもフレッドを愛していた。愛する二人は一緒に大学を卒業した。フレッドは大学から助教授の地位を興味へられたので彼女に求婚した。しかしバップスは華やかな舞台に憧れていた。ニューヨークブロードウェイの花形となることを夢見ていた。そして同じ目的を抱く同窓の共ポップと連れ立ってニューヨークへ赴いた。一緒に口を探し歩いた二人のうち先ずポップが幸運を得た。有名な喜歌劇団の持主たるレノヴの妻でニューヨークでも評判の漁色家の知遇を得たポップはレンヴの一座に入った。無情なポップに取り残されたバップスは計略を用いてレノヴ自身に彼女の舞踊の才を示し首尾よく雇われた。バップスの身を案じたフレッドはニューヨークに出て彼女を舞台裏へ訪ねて来て彼女がレノヴに接吻を強いられているのを見て憤激して争い始めた。その場へレノヴ夫人が偶然やって来たのでレノヴは稽古をつけているのだと誤魔化した。レノヴ夫人はフレッドに興味を抱き彼の古典劇脚本に興味を持っているように見せて彼を誘惑しようとした。ポップに稽古の時のちょっとした失敗を口実にくびにされてしまった。レノヴは嫉妬に馳られフレッドを監視する為に助手として雇った。そして策を弄して彼を手形偽造犯人として告発した。フレッドが投獄されたと聞いて驚いたバップスは面会に行ってレノヴの策略を知り早速レノヴを訪ねて告訴を取り下げさせることに成功したレノヴが交換条件として彼女に暴行を加えようとした時、非常番の老人が放水して彼女を救った。フレッドは放免されるや拳銃を買求めて舞台裏へやって来た。それは丁度初興行の幕を開ける前で仕度をしたバップスは出を待っていた。彼女はフレッドが狙撃せんとするのを阻止している間に、レノヴが黒表を廻した為就職が出来ぬポップがやって来てレノヴを鉄棒で殴り倒した。ポップは逃げ場を失い墜落して死んだ。この悲劇に流石のバップスも舞台生活に愛想をつかしてフレッドと共にニューヨークを去った。

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