街の紳士

解説

「摩天楼の巨人」「サンダーボルト(1929)」の脚色者ハーマン・J・マンキーウィッツがストーリーを書き脚色したものを基に「愛する権利(1930)」「七日間の休暇」のリチャード・ウォーレスが監督し「女給と強盗」「モンテカルロ」のヴィクター・ミルナーが撮影した映画で、主演者は「アパートの殺人」「命を賭ける男(1930)」のウィリアム・パウエル、助演者は「令嬢暴力団」「アリゾナ怪盗異聞」のキャロル・ロンバード、舞台から来たウィン・ギブソン、「盗まれた天国」のガイ・キッビー、「歓楽の孤児」「鴛鴦の舞」のローレンス・グレイ、ジョージ・チャンドラー等である。

1931年製作/アメリカ
原題:Man of the World

ストーリー

パリへやって来るアメリカ人達と親しく交際する小説家マイケル・トレヴァーとは、実は元アメリカの新聞記者ジミー・パワースの世をしのぶ仮の姿だっが彼はパリこそはやくざに生まれついた自分には最もふさわしい土地だと思っていた。そこで彼はアメリカ人達の秘密を打って生活の資を得ていたのである。ゆすりとかたりのこの仕事を助けているアイリーンという女はマイケルを愛していたが、マイケルは恋を否定する男だった。そうして両者の間には絶えず冷たい空気が流れていた。こうした呪わしい彼の生活の中にアメリカの金もちテイラー氏とその姪メリーが現れた。これは彼にとってはこの上なき好餌だったけれど、あれ程恋を否定しあれ程仕事に熱中していた彼がメリーとの熱烈な恋に落ちた。やくざなるが故に彼は日ごと苦しみ悶えたが、遂に自ら素性を打ち明けてメリーに結婚を申し込んだ。通りいっぺんのロマンスに飽きていたメリーも許嫁者フランクを捨ててまでこの本当の恋に生きることを喜んだ。けれど、仮にメリーが彼の過去を許したとはいえ、アイリーンが黙っているはずがない。彼としても過去のいまわしい罪悪のために愛するメリーに「囚人の妻」の汚名を被せるのはあまりに忍びがたい事だった。それでメリーの面前でテイラー氏を恐喝し、一万ドルをせしめた。こうしてマイケルはメリーと手を切ることに成功したが、その直後、嫉妬に狂ったアイリーンの密告によって彼はフランス官憲から退去命令をくらった。やがて、すべてを諦めたマイケルがアイリーンを連れて南アフリカに向かったとき、これもまた、絶ち難い愛着を残してメリーはフランクと共にアメリカに帰って行った。

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