劇場公開日 1947年8月

「リメイクという作業を見せてもらいました」桃色の店(街角) きりんさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5リメイクという作業を見せてもらいました

2021年4月18日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

リメイク版に対して泣いて抗議されているレビューがあったので、どんなものかとかえって興味津々。

感想を結論から書けば、リメイク版と言われるメグ・ライアンの「ユー・ガット・メール」は、リメイクというよりはヒントやアイデアをもらったという感じではないかな?

新:旧の比較は、まあこれもありかなぁと思いました。新作がそこまで否定されることもないかと。

旧作=本作では、これは意外なのですが、お互いに手紙を書くシーンが一回も(本当にただの一回も)出てきません。彼女のほうが届いた手紙を読む場面が一回きりあるだけ。
これでは手紙という媒体が間を取り持って、二人の男女がお互いに見知らぬ相手に信頼し、失業の不安も支え合い、そして夢中になっていく、その様子を表現するのはちょーっと無理な気が(汗)
それ故、匿名の文通相手が実は喧嘩友だちの同僚だった!という感動も、旧作では弱くてダメです。観客はおいてけぼりになるのです。
昔の映画はこれで良かったのかもしれませんが。

もし、二人が無我夢中でお互いに手紙を書き、山のような手紙を毎日受けとるシーンが織り込まれていたのなら、それは旧作の勝利は疑いないですが、肝心のそこが無しですからね・・
リメイク版はその決定的な不足分を十分に補っています。
両方観ることによって二つの映画は補完し合いますね。

キャスティングでは、
横暴なワンマン店主と、つっけんどんな店員のジェームズ・スチュワートがミックスされて新作のトム・ハンクスという人物になっているという改編も発見できたりして感心。
今回の鑑賞は「リメイクという作業」を面白く見せてもらった体験でした。

新:旧は、ストーリー的にも、脚本・編集的にも、一長一短。引き分けだと思いました。

両方ご覧になることをオススメします。

(手紙魔、手紙フリークの きりん)

きりん