マイ・ボディガード(1980)のレビュー・感想・評価
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リンダーマンの背中
原題は『BODYGUARD』。
『ベストキッド』などにも見られる、当時アメリカでのイジメの描かれ方のテンプレート通りの物語。
【ストーリー】
主人公クリスフォードが転校した高校は、不良生徒が好きに振る舞う荒れた学校だった。
小柄で毛並みのいいクリスフォードはさっそく目をつけられて酷い暴力にあう。
学校生活に危惧を抱いたクリスフォードは不良たちが決して手を出さない、誰ともつるまないリッキー・リンダーマン(アダム・ボールドウィン)という生徒に自分のボディガードを頼みこむ。
高額報酬を約束されて、渋々引き受けるリッキー。
絡んできた不良のボス・ムーディ(マット・ディロン)とその取り巻きをさっさとぶちのめし、クリスフォードの学校生活は順調に進むようになる。
徐々に仲が良くなる二人だが、あまりに便利に自分の威光を利用するクリスフォードに、リッキーはウンザリしてボディガードを降りると言いだす。
一方のムーディたちも用心棒を雇い、リッキーへの復讐を画策する。
手強い用心棒をどうにか下したリッキーだが、クリスフォードはボディガードは降りたから、ムーディは自分で倒せと言う。
「僕に、そんなことは無理だ」
「やるんだ。鼻だ。鼻をねらえ」
リッキーに背中を押され、クリスフォードの拳が、ムーディの立派な鼻筋をぶったたく。
マイ・ボディガードといえばいくつか映画が浮かびますが、個人的には幼い頃見たこの作品がNo. 1です。
アダム・ボールドウィン演ずるリッキー・リンダーマンは、寡黙ながら強面のビッグマン。
そうですね、喧嘩マンガのクローズに出てくるリンダマンの元ネタです。
ただ愛想が無いわけではない、親しくなると味のある人物という側面がかわいい。
ラストのやりとりがまたいいんです。
「おまえ強いな。今度俺のボディガードしてくれよ」
「いいけど、高いよ?」
マイ・フレンド
故トニー・スコットとデンゼル・ワシントンの同タイトルの作品があるのでてっきりアクション映画かと思ったら、まさかの青春映画。
知らなかった事を後悔するくらいの、好編!
ホテル支配人の父と自由奔放な祖母とホテル住まいのナイーブな15歳の少年クリフォード。
転校初日、不良グループに目を付けられ、日々イジメのターゲットに。
そんなクリフォードがボディガードとして雇ったのは…
クラスで怖れられている一匹狼のリンダーマン!
他のクラスメイトとは大人と子供のような体格差。
無口、無表情。歩くだけで威圧感バリバリ。
警官を殺した、教師を犯した、弟を殺した…とんでもねー噂だらけ。
彼の前では普段意気がってる不良グループも逃げ出すくらい。
『クローズZERO』の最強の男リンダマンのモデルだとか。
本作、青春映画でありながら、恋愛要素は一切無く、クリフォードとリンダーマンの友情物語一本に主軸を絞ってるのがいい。
リンダーマンの威圧感だけで不良グループを蹴散らし、ちょっと調子に乗ったクリフォードに「これきりだ」と去るリンダーマン。
それ以来、彼の事が気になるクリフォード。
何故、いつも一人なのか。噂は本当なのか…。
彼の弟の悲しい事件を知る。
ちょっとしつこいクリフォードにうんざりするリンダーマンだったが、徐々に心を開いていく。
噂なんてただの噂。
周りに勝手にイメージつけられて、彼だって本当は友達が欲しかった。
知り合ってみると、彼も至って普通の青年。
時々はにかむリンダーマンの笑顔が可愛らしい。
二人でバイクに乗って街を走るシーンは何と心地よい!
ある時、不良グループが腕っぷしの強そうな奴を雇って復讐する。
どんなに殴られ、罵られ、見かけ倒しの弱虫と馬鹿にされようとも決して反撃しないリンダーマン。
弟の悲しい事件の事もあるが、強いってのは喧嘩が強いって事じゃない。
手を出さない事が本当の強さだ。
でも!
反省の色ナシの調子こいてるバカヤロウには、一発ギャフンと言わせる事も必要。
堪え忍んで堪え忍んで堪え忍んで、最後に怒りを爆発させる“健さん流儀”のリンダーマン。
最後はリンダーマンが不良グループのリーダーを一発ぶちかますかと思いきや、この決着の付け方は気に入った。
やはり自分で立ち向かわないと!
本作の不良グループのリーダー役で一躍青春アイドル・スターとなったマット・ディロン。ハリウッドの青春映画で必ずこういう俺様な奴いるいるで、異彩も放っている。
それから、本作のもう一人のMVPに、クリフォードのばあちゃん。
このパワフル過ぎるばあちゃんの前では、さすがのリンダーマンも子供であった。
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