劇場公開日 2022年10月21日

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「反体制が喜ばれた時代を反映した作品」暴力脱獄 Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5反体制が喜ばれた時代を反映した作品

2014年5月1日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

難しい

総合50点 ( ストーリー:40点|キャスト:65点|演出:65点|ビジュアル:70点|音楽:65点 )

 陽気で豪気で社会に縛られない自由な主人公ルークの刑務所生活と脱獄を描く。ささいなことが原因で刑務所暮らしが始まるものの、刑務官たちは威圧的で、そのような彼らの態度をよしとしないルークが人気を得ていく。ルークは囚人たちの反体制の象徴的存在であり、またこの当時の社会体制に逆らう人々の憧れといったところなのだろうか。

 だけどなあ、それって現在からすればただ青臭い。ルークはその場その場で一人で好き勝手をやっているだけ。社会に逆らいたいならば自分が力をつけないと駄目じゃないかとか、違うやり方があるんじゃないかとか、そんなことがまず頭に浮かぶ。刑務所にも多少の問題はあるものの、少なくとも最初に脱獄する前の段階ではどうしようもないひどい状態とは思わないし、脱獄なんかすれば態度が厳しくなるのは当たり前だし、それが嫌なのでとにかく脱獄しましたでは共感できない。家族の死のたびに囚人に脱獄されては社会も維持できない。主人公が強い思いを持って脱獄を繰り返した「パピヨン」とはこの点で比較にならず、この程度の人物が主人公なのかとすら思う。
 だからルークの行動がただただ幼く見える。社会に生きるのならば最低限の秩序を守れ、自由に生きることと我儘やり放題を勘違いするなという思いがよぎった。制作年代もベトナム戦争があって学生運動が盛り上がって社会体制に反対さえすれば何でも喜ばれた時代なんだろうし、この時代ならではの主題だろうが、ポール・ニューマンが主演であっても私にはつまらない内容だった。

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Cape God