奔流天に騰る
解説
1923年度のピュリツァ賞を得たハッチャー・ヒューズ氏の戯曲を映画化したもので、ヴィイタグラフ誌がウォーナァ・ブラザース社に併合されると共に制作者として入社したジュー・スチュアート・ブラックトン氏が第1作品として監督製作した。因みに脚色はブラックトン氏令妹マリアン・コンスタンス・ブラックトン女史が擔任した。主役は「娘は踊る」「陽気な巴里っ子」等出演のパッシー・ルス・ミラー嬢で對手役は「知略三段返し」「白牙に衂りて」等出演のジョン・ハロン氏「白牙に衂りて」「男は度胸」等出演のゲイン・ホィットマン氏及び「夢の街」等出演のガードナー・ジェームズ氏が演じ、エヴェリン・セルビー嬢ジェームズ・マーカス氏等が助演している。
1926年製作/アメリカ
原題または英題:Hell Bent For Heaven
ストーリー
世界戦役が終わってシッド・ハントは故郷のカロライナの山奥に帰って来た。彼の勇ましい手柄話を人々は喜んで聞いたがハント家の召使ルーフは若主人を羨ましく嫉ましく思わないではいなかった。何故ならシッドの恋人ジュード・ロウリーにルーフ自身も激しい恋慕の炎を燃やしていたから。彼は思案の揚句ハント家とロウリー家とを仲違いさせる事を決意し、ジュードの兄アンディーにある事ない事言葉巧みに告げてシッドに對して敵意を抱かしめた。遂にある日酒の醉に分別を失したアンディーは銃を執って親友たりしシッドを狙撃せんとした。シッドの馬のみが戻って来た時シッドの父と祖父とは直ちに銃を片手に飛び出しアンディーを捕まえて来た。彼は地下室に縛せられルーフが張番をした。ルーフがアンディーを殺さんとする所に父と祖父とに助けられて帰ったシッドが遮り止めた。ルーフは虚構を以てシッドを工事未完成の堰の方に赴かしめ自ら間道を驅けて爆薬を仕掛けた。シッドが行き着いた頃堰は破壊され洪水が起こった。ルーフはシッドの死を信じた。洪水はしだいに村を襲いアンディーは地下室に溺れかかった。シッドが無事に戻って来たのを見て驚いたルーフは欺いてシッドをも地下室に閉じ込めたが、ジュードが溺死せんとするのを見てシッドをして救いはじめた。そして悪運盡きたルーフは自ら溺れ死んだ。かくて総ての誤解は去り平和と幸運が両家に帰った。シッドとジュードとの結婚の日も近いであろう。
スタッフ・キャスト
- 監督
- J・スチュアート・ブラックトン
- 脚本
- マリアン・コンスタンス・ブラックトン
- 原作
- ハッチャー・ヒューズ
- 撮影
- ニコラス・ムスラカ