法の外(1921)

解説

「スタムブールの處女」を完成して以来約1個年を費やしプリシラ・ディーン嬢を主役として製作されたトッド・ブラウニング氏の監督映画で、製作に25万ドルを要したと伝えられる。最近「宝島(1920)」「ヴィクトリー」等でめきめきとその悪役振りを認められたロン・チャニー氏がブラック・マイク・シルヴァという暗黒街の頭分と、ジョー・ワングと言う中国人の下男の2役を、実に明確に演じ分けている。ディーン嬢の相手は夫君ウィーラー・オークマン氏で、最後の辺りの猛烈な格闘は「スタムブールの處女」以上遥かに凄いものであった。壮麗な舞台装置と巧妙を極めた光線の使用は緊張した筋をより以上に引き立たしめている。中華街に用いてある淡紅色の染色が美しい印象を残した。中華街内部のセットにも他の映画に見たようなグロテスクな滑稽味はほとんど見られず、真実味が漂っていた。原作者であり監督者であるトッド・ブラウニング氏の頭の緻密さが全編に見られる。8巻の長尺を息も継がせない。

1921年製作/アメリカ
原題または英題:Outside the Law

ストーリー

かつては相当有名であった悪漢のサイレント・マッドンは、サンフランシスコの中華街に住んで、中国人チャング・ロウの訓練によって改心している。ロウは法律よりも宗教の力を信じている男で、かつてから自己の信ずるところを説いていた。金鉱石のように汚れなき、しかし堅い心を持った乙女なるマッドンの娘モリーも、昔は父と共に悪事を働いたこともあったが、今は父と共に平和な日を送っている。かつてマッドンの部下であったブラック・マイク・シルヴァは「名誉」とか「恐怖」とかを知らぬ恐ろしい男で、今は暗黒街の頭分である。心得違いにも彼はマッドンに復讐しようと決心して、自ら警官を銃殺してその罪をマッドンに被せる。マッドンは証拠不十分として8カ月の禁固に処せられた。その留守中にシルヴァはモリーをも警官に捕らえさせようとしてビル・ボーラードをして彼女と共に仕事をさせ彼女だけを捕らえさせようとしたが、ビルはシルヴァを裏切って、スペンサー家から盗み出した宝石を彼に渡さずモリーと共に隠れ住んだ。数カ月の後彼らの隠れ家を突き止めたシルヴァは2人を襲ったが、その場に探偵に踏み込まれ、モリーの機知から2人は逃れてチャング・ロウの家に帰ってきた。2人は正当な道を歩むべことを悟って、宝石をスペンサー家に戻すことにしていた。シルヴァは再び手下と共にここを襲ってきた。大格闘の幕は切って落とされた。シルヴァは中国人の下男ジョー・ワングに狙撃され、2階から下に墜落し重傷の身を街上まで這い出したが力尽きて死ぬ。チャング・ロウは警官に宝石を返してモリーとビルが正道を歩むべきことを誓った。

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