ニュー・ムーン(1930)

解説

「悪漢の唄」に次ぐ世界的名歌手ローレンス・ティベットの主演映画で、原作は1928年ニューヨークインペリアル劇場に上演好評を博したオスカー・ハマースタイン第二世、フランク・マンデル、ローレンス・シュウォブの作詞、ジグマンド・ロンバーグ作曲にかかるオペレッタ「ニュー・ムーン」である。これを「モンタナの月」と同じくシルヴィア・サルバーグとフランク・バトラーとが脚色し、シリル・ヒユームが台詞を執筆し、「侠盗ヴァレンタイン」「花嫁修業」のジャック・コンウェイが監督にあたったものでニューヨーク歌劇界の花形として有名なるグレイス・ムーアをはじめ、「モロッコ」のアドルフ・マンジュウ、「マダム・サタン」のローランド・ヤング、「有頂天時代(1930)」のガス・シャイ、「我が心の歌(1930)」のエミリー・フィッツローイが主演者を助けて登場する。カメラは「月光の曲」「船出の朝」のオリヴァー・T・マーシュが担任している。

1930年製作/78分/アメリカ
原題:New Moon

ストーリー

一介の士卒から中尉になったミハエルは気骨稜々ときに傍若無人の振る舞いもあった。彼は軍務を帯びて部下を引率しカスピアン海を渡るべく汽船「ニュー・ムーン」号に乗った。上甲板には貴族たちがポリス総督の招待を受けて祝宴に望べく同じく乗船していた。一行にはタニヤ姫に彼女の叔父、叔母にあたる伯爵夫妻も見えた。ミハエルが船中で部下の者と座興にジプシーの唄を歌ったのが姫の注意をひいた。ミハエルは一婦人を追って誤ってタニヤ姫の部屋に入った。彼の美しき声に魅入らされていたタニヤ姫は彼に好意を持っていた。そして2人の心の了解は恋にまで発展した。しかし船が港に到着した時ミハエルは初めて出迎えのポリス総督、自分の上官である彼がタニヤ姫と許嫁であることを知り、しかも彼女はミハエルに対して未知の人のごとき振る舞いに憤怒の炎に燃えた。タニヤ姫を歓待してポリス総督邸では盛大なる舞踏会が催された。しかしタニヤはポリス総督と許嫁の間柄でありながら総督に対して好感を持てぬのをいかともすることが出来なかった。ミハエルは招待も受けぬ身であったが総督邸に乱入し、再び姫の素っ気なき振る舞いに、唄にことよせタニヤを罵倒した。ポリス総督は怒ってミハエルを国境地帯にあるダルヴァズ要塞の守備司令官に命じた。ダルヴァズ要旨の守備兵は野蛮で、いづれも血に飢えた者で常に上官に反抗しているので有名であったがミハエルの威に脅せられて彼らはたちまち従順になった。タニヤ姫はミハエルの過般の侮辱に憤慨して叔父と友に来たり、ミハエルを激しくムチうったが彼は動じなかった。おりからタルグスタンが大挙してダルヴァズ要塞に押し寄せるとの報に接して、彼は援兵を求めて総督に打電するとともに自ら陣頭に立って戦い手騎兵を打ち破った。総督はむしろミハエルの戦死するのを希望して故意に援兵をおくらせた。だがポリス総督が要塞に到着した時はすべては無事に済んでいた。そして戦闘直前タニヤ姫は初めてミハエルの真実に打たれ、自分の過去の仕打ちを陳謝し、2人の愛は堅く結ばれたのであった。

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