ビルの冒険物語

解説

出演俳優がすべて訓練された270余羽の「せきせいんこ」「からす」「ふくろう」「おうむ」などの小鳥と、子犬、子猫、小鰐、天竺鼠、ひき蛙、小猿、小狐などの小動物ばかりという珍しい劇映画。コメディアンのケン・マーレイの「ブラックアウツ」を原作にロイヤル・フォスターとディーン・ライズナーが書いた脚本によって、ビルとクウという1組のおうむの恋人を中心とした小鳥の町の物語が始まる。監督はディーン・ライズナー、撮影監督はジャック・マータ、音楽は「大荒原」のデイヴィッド・バトルフに「女はそれを我慢できない」のライオネル・ニューマン(指揮)。

1947年製作/アメリカ
原題:Bill and Coo

ストーリー

アメリカ東部の平和な小鳥の町チャーペンデイルでは誰もが明日やってくる恒例のサーカスに浮き浮きしていた。が、せきせいいんこのビル青年だけは、ひとり寂しそうだった。彼は町のホテルのひとり娘で、やはり、せきせいいんこのクウと親しくしていたが、クウの父は貧しいビルを嫌い、娘と会うのを禁じたからである。やがて夜が来た。このとき一陣の風とともに「黒の悪魔」と呼ばれ町の鳥に恐れられている残忍なからすが襲ってきた。鳥たちは防空壕へ避難したが、「黒の悪魔」はホテルに火をつけた。消防車が繰り出したが火勢はつのるばかり。ホテルの娘クウは逃げ遅れて助けを呼ぶが誰も手を出せない。このとき救助梯子を駈け上り窓を破ってクウを助けたのはビルだった。やっと火も消え、「黒の悪魔」は残念そうに姿を消した。ビルの勇敢な行為を見たクウの父親は、娘にビルと親しくすることを許した。翌日、悪夢の去った町の鳥たちは、いそいそとサーカスへ出かけた。サーカスが始まり、いよいよ佳境に入った。ところが、そこへ再び「黒の悪魔」が襲ってきた。「黒の悪魔」はサーカスの天幕の出口をふさいで獲物を物色した。場内は大騒ぎ。だが、このときビルは場外に脱出、町の砲台へ駈けつけ大砲を空へ向けて射ちだした。時ならぬ大砲の音に「黒の悪魔」は驚いて町へ引き返した。この間に鳥たちは安全地帯へ避難した。ビルは、ついで「黒の悪魔」を町外れの森にからすの好物をもっていって誘い込み、罠に落として捕えた。チャーペンデイル町に再び平和がよみがえり、ビルとクウは町の鳥たちの祝福のうちに結ばれた。

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