悲愴交響楽

解説

元ニューヨーク交響楽団の指揮者であったナサニエル・フィンストンとJ・セオドア・リードの共同製作になるチャイコフスキーの伝記映画である。かつて「リリオム」「武器よさらば」等のシナリオを書いたベンジャミン・グレイザーが脚色・監督に当たった。撮影は「街の灯」等チャップリン映画を多く手がけたローランド・トセロー、音楽はナサニエル・フィンストンが自ら指揮し、チャイコフスキーの名曲を集録している。スウェーデンでバーグマンと共演していたフランク・サンドストロームが主役を演じ、「拳銃の町」のオードリー・ロング、「ドリアン・グレイの肖像」のサー・セドリック・ハードウィックが出演している他、ミハイル・ラズムニー、ゲイル・シャーウッド等が助演する1947年度作品。

1947年製作/85分/アメリカ
原題または英題:Song of My Heart

ストーリー

1944年、ペルシャ湾にのぞむ港湾指令部の将校クラブで、ロシヤ人のセルゲイ中尉は、父ステファンから語り伝えられたチャイコフスキーの生涯を物語った。彼の父はこの楽聖が心の友としていた下僕だった--新作バレエ曲発表の日、チャイコフスキーは会場に皇帝臨席という栄誉をになったが、指揮に馴れぬ彼は満座の中で恥をかく破目に到った。その折、彼の「第三交響楽」を出版しようと奔走していた友人のユルグセンが、某男爵夫人がその費用を出してくれるという吉報をもたらした。しかし夫人はその名を告げず、また面会も謝絶という条件に、チャイコフスキーは自尊心を傷つけられ、この申し出を断った。ある日、音楽学校の女学生ソフィアが彼の前に現われ、2人の交際は恋愛から結婚にまで進んだ。だがソフィアは夫が芸術にのみ没頭するのに耐えられず、彼の元を去った。傷心のチャイコフスキーに湖畔の別荘から招待状が届いた。ステファンと共に出かけた彼は、そこで初めて別荘の令嬢アマリアが某男爵夫人なることを知った。2人は烈しい恋に酔ったが、皇帝の叔父太公をを父に持つアマリアは、皇后の命で公子に嫁ぐ身であった。2人の噂はペテルスブルグにまで届き、驚いて駈けつけた太公は彼等の別離を説き伏せた。チャイコフスキーの嘆願もむなしくアマリアもまた彼から去って行った。失意の彼に旺盛な創作活動が始まり、幾多の名曲が次々に発表され、名声は全世界に拡まった。彼は幾年かの後、各地の演奏旅行を終えて故郷に錦を飾った。一方、アマリアは父の元で暗い日夜を送っていたが、太公もついにその心根にほだされ、ステファンを招いて、チャイコフスキーの心中を尋ねた。彼の愛情の未だ冷めやらぬことを知った太公は、再びアマリアを別荘に送り帰した。だが、時すでに遅く、チャイコフスキーは流行のコレラに倒れ、アマリアの名を呼びながら世を去ろうとしていた。

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