破戒(1929)

解説

「キング・オブ・キングス(1927)」に次ぐセシル・B・デミル氏監督作品で、同じスタッフ即ち原作脚色ジェニー・マクファーソン女史、撮影ペヴェレル・マリー氏、助監督フランク・アーソン氏、に助けられて製作したパート・トーキーである。主役は「セレナーデ」「獄中日記」のリナ・バスケット嬢と新進のジョージ・ダーイー氏及び「赤い鳩」「リンダ」のノア・ビアリー氏で、「暴力団(1928)」「美人売約済」のマリー・プレヴュー嬢を始め「夜稼ぎ二人組」のメアリー・ジェーン・アーヴィング嬢、エディ・クィラン氏、ケイト・プライス夫人クラレンス・バートン氏等が助演している。

1929年製作/アメリカ
原題または英題:The Godless Girl

ストーリー

或る大学での出来事である。学生間に無神論を唱え出すものがあって忽ちの間にそれが伝染し一勢を成した。学生監は彼等のパンフレットを没収し弾圧を加えた。一方敬神主義の学生達もまた団結して無神論一派に対抗して次第に両者間の対立は度を加えて行った。そして興奮の極に達した両派は遂に正面衝突をして研学の園は忽ち乱闘の巷となり、無神派の一女学生は惨死を遂げた。彼女は断末魔にジュディーと叫んで息を引き取った。首謀者として無神派の女学生ジュディー、有神派のロバートとポップが検挙され少年刑務所に収容された。明るい華やかな学生生活とは天地雪泥の差ある刑務所の冷ややかな忍苦の営みは彼等の心身を虐げた。冷酷な看守長の怒りにふれてロバートは水攻めや電流の刑罰を蒙った。彼は女の身のジュディーの辛さを考えると何な責苦も耐え、脱出の機の来るのを待っていた。遂にその機会は到来した。看守長が怒り狂って彼の独房を襲ったときロバートは機知を持って看守長を監房に封じ逃れ出て、ジュディーを誘って荷馬車に乗り山や谷を越えて逃げた。大自然の懐に抱かれた二人は久しぶりに生の喜びを感じた。そして二人は恋愛に似た気持ちを抱いているのを感じあって幸福が胸のうちに沸き起こるのを覚えるのだった。その時脱監者を追う看手達は銃を撃ち襲って来た。二人は再び捕えられ厳重に監禁された。その夜刑務所は火災に見舞われて到底消し止める事が不可能と思われたので、残忍な看守長も囚人の解放を命じた。ロバートはジュディーを求めて火焔の中を駆け回った。彼女は独房内に縛されていた。ロバートは気絶して倒れている看守長の腰の鍵を取ってジュディーを救いだし、更に友二人の力を借りて瀕死の看守長を猛火の中から助けた。その善行によって彼等は許される身となった。ロバートとジュディーの行く手は始めて春光に恵まれ、若草が萌え出るのではなかろうか。

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