二秒間

解説

「夜の大統領」「天晴れヴォング」のドワード・ロビンソンが主演する映画。レスター・エリオットの原作から「狂へる天才」「民衆の敵」のハーヴェイ・シュウが脚色し、「選手の後に娘あり」「都会の世紀末」のマーヴィン・ルロイが監督し、「支配する声」「選手の後に娘あり」のソル・ポリートが撮影した。助演者は「春ひらく(1931)」のヴィヴィエン・オスボーン、「キック・イン」のキャロル・ナイシュ、ガイ・キッピー、プレストン・フォスター、エイドリアン・ドレ、ウォルター・ウォーカー等である。

1932年製作/アメリカ
原題または英題:Two Seconds

ストーリー

電気椅子で死刑を執行する場合、生命の絶たれるマデニ二秒間かかるのを常とする。この二秒間の間に死者の一生涯の事件が全部脳裏に蠢くと言われている。ジョン・アレンという建築工が死刑にされた時の二秒間に現れた事件がこの映画の内容なのだ。--ジョン・アレンは真面目な建築工でなんとなく学問居憧れを持ってたりしている男だった。友達のパッドと一つの部屋に暮らしていたがフトしたことからダンサーと知り合いになり酒に酔った挙句、気のつかない間に結婚式を挙げられてしまった。バッドは新妻シャーレーの品行をジョンに語り忠告するが彼は一度結婚した以上愛し続けるといってきかない。二人は争論するうちバッドは高所から墜落して即死する。ジョンは神経衰弱になって働けなくなる。その間シャーレーは元のダンス場で稼ぐがこれは表面で、踊り場の主人トニーとよからぬことをしているのである。ジョンはこれを知っていたがシャーレーの得て来たトニーの金で暮らしている以上何と言うことも出来ない。しかし心のなかは煮えくり返るようだった。そこへ幸か不幸か競馬の賭が当たってまとまった金が入って来るのでジョンは早速それを持ってトニーのところへゆき彼がシャーレーに興へた金を全部かえした。金銭上の清算をつけた彼は更にシャーレーを面前に引き据えてその不貞を詰り、遂にこれを殺してしまう。そして彼は自首して出た。計画的な犯罪なので死刑が正当であったが、裁判長は彼の精神状態を疑ってみる。しかしジョンは自分の精神に異状がないことを力説し、弁護人を斥け、また自分がシャーレーを殺したことを善事でるといって主張するのであった。ジョン・アレンが電気椅子につくまでにはこうした事情が横たわっているのだった。

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映画レビュー

3.0エドワード・G・ロビンソンは流石!

2022年7月10日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

エドワード・G・ロビンソンは、ギャング役も似合うが、モテない男を演じるのも上手くて、流石!
この映画では、モテない男…というか女性に慎重な男なのだが、彼の慎重さの上手をいく女にハメられて……という悲劇の男。

「『二秒間』なんて変わったタイトルだな…」と思って観始めると、冒頭の電気椅子での死刑執行場面で「電気が流されてから、脳は2秒間生きている。たぶん一生と同じぐらい長い時間かも知れない」などというセリフあり。
……ということで、本作は死刑執行で電気椅子の男の「二秒間」で顛末を回想する映画となっている。

アレン(エドワード・G・ロビンソン)は建築作業員で、親友バド(プレストン・フォスター)と一緒に、摩天楼ビルを作る高所作業をしている。
親友バドはアレンに女性を紹介するのだが、消防署みたいな女ばかり…(笑)
フラリと入ったダンスホールで、ホールの女=シャーリー(ヴィヴィアン・オズボーン)と出会うのだが、アレンは彼女の接近にも慎重。
しかし、そのうち、アレンは泥酔させられて、シャーリーと泥酔結婚させられてしまう。
親友バドが「君は騙されている!」とアレンに言うのだが、工事現場でも二人は喧嘩して……と悪夢の展開になっていく。
(詳細の記載は割愛)

エドワード・G・ロビンソンの演技は光るが、本作で強いて言えば「悪女はシャーリー」なのだろうが彼女は「悪女にしてはチョット、意外な悪さが足りない感じ」であった。

監督はマーヴィン・ルロイ。
この監督作を(高校時代(1970年代)に)初めて観たのは『哀愁』なので、ああいう映画の監督かと思っていたら、その後『犯罪王リコ』・『仮面の米国』・『悪い種子』などなど「犯罪者を描いた映画もけっこう撮っている」のも観た。
本作は、犯罪ものというより「不運な男もの」であり、『犯罪王リコ』に続いてエドワード・G・ロビンソンを起用した映画である。

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たいちぃ