店曝らしの天使
解説
「空行かば」「ライラック・タイム」のゲイリー・クーパー氏と「アビーの白薔薇」「マンハッタン・カクテル」のナンシー・キャロル嬢との共演映画で「狂言成金」「アメリカ美人」等をものしたリチャード・ウォーレス氏がパラマウント入社第1回作品として監督したもの。原作はダナ・バーネット氏の小説で、ハワード・エスタブルック氏とアルバート・シェルビー・ル・ヴィノ氏とが改作しエスタブルック氏が脚色した。助演者は「マンハッタン・カクテル」「女優情史」のポール・ルーカス氏と「人生の乞食」「野球王」のロスコー・カーンス氏とである。
1928年製作/アメリカ
原題または英題:The Shopworn Angel
ストーリー
ニューヨークブロードウェイのコーラス・ガールで劇場主をお旦那にしているデイジー・ヒースは米国が参戦することになって、ニューヨークの街中が軍歌や行進曲で沸き返るのが癪にさわって堪らなかった。毎夜のように夜明かしをする彼女の耳は騒音でガンガン鳴った。ところでデイジーの癪の種の1人にウィリアム・タイラーというテキサスの田舎から出てきたばかりの兵士がいる。ウィリアムはニューヨークを見物して歩いているうちに迷い子になって警官に兵営へ帰る道をたずねた。警官は通りかかった自動車を止めて運転手に兵隊さんを送り届けろと命じた。その自動車に乗っていたのがデイジーで彼女はこの不器用な兵士と相乗して世の中にはこんな唐変木もいるのかと思った。ところがタイラーは戦友たちにからかわれてデイジーを楽屋口にお迎えに行かねばならぬ破目となったが、デイジーは気紛れでタイラーを知己の如く扱って彼の立場を救ってやった。これが病み付きとなってタイラーはデイジーに首つ丈け惚れた。デイジーも彼の純な心に不思議に心を惹かれた。彼女のお旦那のベイリーは嫉妬こそは感じなかったがデイジーのむら気な戯れに一抹の不安を覚えるようになった。その頃にはデイジーはもうタイラーに本当の恋を感じるようになった。そしてタイラーがいよいよフランスへ出発せねばならぬ日となって2人はコニー・アイランドへ遊びに行き帰りには到頭教会堂で結婚式を挙げることになった。その式半ばにデイジーはベイリーとの関係の真相を告白せねばならぬ立場になって卒倒した。ところへ無断外出中のタイラーを捕えに憲兵がやってきたので彼は失神したデイジーに接吻して曳かれて行った。お旦那を失ったデイジーはコーラス・ガールの1等ビリッけつになって舞台の後の方で踊らねばならなくなった。彼女はタイラーの面影を脳裏に描いて泣きながら唄をうたったのである。
スタッフ・キャスト
- 監督
- リチャード・ウォーレス
- 脚色
- ハワード・エスタブルック
- アルバート・シェルビー・ル・ビノ
- 原作
- ダナ・バーネット
- 撮影
- チャールズ・ラング
- 題字
- Ton Miranda