「つまり、この親父は『フ○テン○寅さん』だ♥」セールスマンの死(1951) マサシさんの映画レビュー(感想・評価)
つまり、この親父は『フ○テン○寅さん』だ♥
隣に住んでいる親父が言う。『セールスマンは生活に基盤がない。ボルトナットも締められず、法律や薬の知識も無い』そして『セールスマンは夢に生きるものだから、責めたらいかん』と呑気な解釈で、隣の家族をいたわる様に言葉を閉める。つまり
[サラリーマンなんて誰でも出来る。技術も才能も要らない。だが、人一倍の愛想を振りまく努力して、一攫千金を狙って、ドサ回りしてきたんだ!君達のお父さんは血の滲む努力をした。アナクロな性格はそのままだったが、自殺してしまったのだから許してやれ]と
つまり、資本主義に於けるブリジットジョブを醜く描いた映画と言う事だ。
アメリカ資本主義は言わずもがな実力主義。日本のそれはかつて年功序列だった。さて、両国の経済的発展は言うまでもなく、経済上昇の部分だけは、日本に軍配は上がる。つまり、日本の年功序列が、アメリカの実力主義に勝っていると解釈も出来る。この映画はそれを予見している。さて、色々な場所で評価され、色々な文化にも影響を与えたのだろう。しかし、現在は日本に於いても西洋に於いても年功による並びを、嫌う事はあっても容認する事はあり得ない。つまり、この映画は何一つ後の社会に変革をもたらしていない事になる。
さて、その理由は分からないが、具体的に言えば、アドレナリンを出しまくって、親子家族が七転八倒し、挙句の果てに崩壊を迎え、最後は関係ない者に慰められて話を終わらせてしまう。所謂、尻窄みであって、問題提議していないと言う事だ。それは昨今の日本映画や韓国映画に多い『人の不幸』を描いて興行を稼ぐと言う手法。見え見えの商業主義丸出しの映画だと思う。
『エデンの東』にも似た映画で、ガンコなな権力主義の父親といじけたモラトリアムでコンプレックス塊の様な白人青年のお話。
この時代は『赤狩り』と『朝鮮戦争』の時代。そして、更に拍車をかけてベトナム戦争へと進み、2001年は宇宙へ行くような旅は、迎えられなかった。そして、それも今は昔。