「赤狩りで苦しんだ人々を描く。」真実の瞬間(とき) 瀬戸口仁さんの映画レビュー(感想・評価)
赤狩りで苦しんだ人々を描く。
1950年代のマッカーシズムが吹き荒れる米国で、共産主義者のレッテルを貼られた映画監督の苦悩を描く。様々な登場人物の描写を、散漫と取るか、興味深いと取るかで、本作の評価は変わるだろう。
本作は、主人公の名前を告発した友人とその妻や、幼馴染の脚本家との証言をめぐる葛藤、失業した主人公を献身的に支える元妻など、赤狩りで人生が一変してしまった人々に焦点を当てている。
中には、あっさり亡命を選ぶ監督もいる(マーティン・スコセッシが演じてる)が、赤狩りに巻き込まれた人々を、淡々と描いている。この描き方が、最後まで見れないことはないが、大きく好みが分かれたところかも。
ロバート・デ・ニーロとアネット・ベニングの熱演が、本作を大いに支えている。結末にモヤモヤを感じた人も多いと思うが、赤狩りで苦しんだ人々を描いただけでも、価値のある作品とは思う。
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