支配する声

解説

「都会の世紀末」「光に叛く者」のウォルター・ヒューストンが主演する映画で原作は「ワイオミングの男」「放浪船」の監督者ローランド・V・リーとが共力して書き、「繁昌娘」のロバート・ロードが脚色し、「特集社会面」のバイロン・モーガンが台詞を執筆、ローランド・V・リー自らメガフォンをとったもので助演者は「繁昌娘」「キスメット(1930)」のロレッタ・ヤング、「シンガポール航路」のドリス・ケミヨン、「愛する権利(1930)」のデイヴィッド・マナース、ジョン・ハリデイ等でキャメラは「特集社会面」「繁昌娘」のソル・ボリトが担当。

1931年製作/アメリカ
原題または英題:The Ruling Voice

ストーリー

アメリカの大都市に暗黒の王として異常な権勢をもつジャック・バニスターは豪放な性質と明晰な頭脳とで一味の仕事をいつの間にか立派な事業に仕上げ、彼の命令は何一つ行われないものはなかった。しかし亡き妻の忘れがたみである娘のグロリアには溺愛に近いほどの愛着を持っていた。しかしグロリアは幼いときに教育のためヨーロッパに送られ、ずっと学校にいたため父の事業が明るみに出せない非合法的のものだとは露知らなかった。数多の市民に牛乳を供給している日常合同が営業の用心棒ともいうべき彼らに報酬を支払わないというのでバニスター一味はこれに極端なる弾劾を加えた。牛乳を初め日常品の値は基より建築費のような大なるものまでグングン騰貴した。日常合同の代表グレゴリーは市民と団結して俄然これに対抗しようとしてあらゆる方策をめぐらし、久々にヨーロッパから帰省する愛娘グロリアのことを知り、娘を通してバニスター一味を牽制しようと美しくて富裕な未亡人メリー・スタントンに頼んで彼を欺かせようとする。帰って来たグローリアはヨーロッパで知り合った北アメリカの息ディック・チェニーと婚約をしたことを父に打ち明けディック・の母の許可を受けるために父の事業のことをきく。娘に嘘の言えないバニスターは自分が暗黒街の仕事の親分であることを告白した。深く欺いたグロリアは不浄の金を嫌って家出し、自活しようとして父親の思いやり深い計略とは知らずスタントン未亡人の一人息子マルコムの家庭教師になった。グレゴリーの計略を知った彼はなおも抗争をグングン続けた。バニスターのため。商売は素より一家破滅の目にあったベイレイは殆ど気も狂わんばかりになり復讐を誓う。スタントン未亡人は初めはグレゴリーのため働いていたがバニスターの娘を思う心とグロリアの純情にほだされ、グレゴリー一家の計略を告げたのでバニスターは娘の煩悶を見るに耐えかね抗争を中止しようと仲間の反対を押し切って命令したのであった。和睦も成立し永久にこの稼業から足を洗おうと決心し娘と平和な余生を楽しもうと考えた彼の許に、昔のうらみを持ったたベイレイがやって来て狂乱の挙句ピストルで射殺してしまう。並ぶものなき彼ではあったが彼もまた暗の一家の掟に従ったのであった。

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