七人の無頼漢のレビュー・感想・評価
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灯台もと暗し、金塊は良く探さないと。
3月14日(金)
本日は「Flow」の初日に行こうと思っていたのだが、骨折した右手小指が気になり気分が乗らないのでNHK-BSで1956年の西部劇「七人の無頼漢」を。
クレジットを見ていたらワーナーカラーと出た。イーストマン・コダック社のイーストマンカラーは、ワーナーではワーナーカラー、メトロ・ゴールドウィン・メイヤーではメトロカラー、20世紀フォックスではデラックスカラーと会社によって表示が違っていたのを思い出した。
七人の無頼漢が2万ドルの金塊を奪い、その時元保安官ストライド(ランドルフ・スコット)の妻はストライドが保安官を辞めたので働きに出ていたため殺されてしまう。
妻の仇を討つために犯人を追う。
道中で幌馬車の轍を取られていたジョンとアニーのグーリア夫妻を助け一緒に南へ向かう。途中で金塊を狙う保安官時代に逮捕した事もあるマスターズ(リー・マービン)と合流し、マスターズはストライドの命を助けたりする。
実は夫のジョンは無頼漢の首領ボーディンから金塊の箱を運ぶのを500ドルで請負っていて箱は幌馬車に積まれていた。ストライドは箱が欲しければここに取りに来いとボーディンへ告げるためジョンを町へやるが、ジョンはボーディンに殺されてしまう。
金塊を取りに来たボーディン一味をマスターズと倒すが、金塊を独り占めしょうとするマスターズと対決して早撃ちで彼を倒す。仇を打ち金塊を取り戻したストライドは保安官補に復帰するとアニーに告げるが、夫を亡くしたアニーは西に行く事を辞め、この地に留まるのだった。
まだ若いリー・マービンが二挺拳銃のガンマンを演じて、早撃ちを見せる。二挺拳銃を逆にホルスターに差しているのが珍しい。脚本がバート・ケネディ、製作がアンドリュー・V・マクラグレンと後の西部劇絡みの名前がみえる。突っ込みどころはあるが、テンポが良く時間も短い(78分)のが良いね。
首領のボーディンはジョン・ラーチ。「ダーティーハリー」の署長だった。
アニーを演じたゲイル・ラッセルは、あまり観たことがないと思ったら1945年頃からB級映画でレイ・ミランドやジョン・ウェイン等と共演したり、主演で活躍したが、アルコール依存症で1961年に37歳で亡くなっていた。私が映画を見始めたのは1968年だから見覚えがない。
1956年作品をもう一本。王道西部劇、名作なんだとか。 妻を殺され...
幌馬車で行く。
西部劇をあまり見ていないからか、あの広いアメリカ大陸を幌馬車で行くってこういうことかと、初めてわかったような気がした。
一組の夫婦。
沼に轍を取られて動けない。
運よく現れた横断旅行に明るい初老の紳士。「泥が乾いてしまうと、にっちもさっちもいかなくなるから、早くに抜け出した方がいい」と言う。
え?そんなに早くに乾くの?日本の風土とは違う。
広々とした青い空。
川辺は潤っているけれど、
それ以外は砂塵が舞い上がる。
SFの異世界に出てくるように、草が丸まって動物のように転がっていく。
そんな道なき道を行く。人がたくさん通れば獣道のように、自然に道ができていくけれど、砂が舞い上がってその痕跡も消していく。
そして、西部劇のお決まり、インディアン(あえてこの言葉を使う)との鉢合わせ。
この夫婦は、運よく旅慣れた紳士と同行できたけれど、もし二人きりだったら無事に目的地に着けたんだろうか。
活路を求めて新天地へ。
ネイティブアメリカンの土地への侵略は賛成できないが、
このような夫婦・家族にとっては生活することだったのだろうし、
西部劇を見ている私には、冒険としてワクワクしてくる。
『七人の無頼漢』-『七人の侍』等のイメージに引っ張られたか、7人のガンマンが出てきて何かするんだろうと思っていたら…。
最初の洞窟の後、この夫婦と初老のガンマンが道連れになり、また二人増えて…、って、「10人のインディアン」ならぬ、「10人のガンマン」か?と歌いだしそうになる。しかも、このパーティのメンバー以外の活躍・人となりはあまり描かれないし。原題も『SEVEN MEN FROM NOW』なんで?
でも、この関係性が面白い。訳ありっぽいストライドとマスターズ。ほとんどしゃべらないクリントも何かするんじゃないかと妙に気になる。
幌馬車の中で睡眠をとろうとするアーニーと幌馬車の下で睡眠をとろうとするストライドの会話。夫のジョンは見張りに出ている。それだけのシチュエーションなのに、妙にドキドキする。
ストライドも単なる清廉潔白な人物ではない。妻が働きに出なければならなかった理由。そんな後悔と寂しさが背中ににじむ。そしてラストの決断。
マスターズの一筋縄ではいかない男ぶり。
ラストの撃ち合いも、派手ではないし、ツッコミどころはあるけれど、魅せてくれる。
粗筋だけなら一行で済んでしまいそうだが、話の展開・演出と、役者ぶりで、何度でも見たくなる映画になるんだな。
(東京国際映画祭2019屋外上映にて鑑賞)
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