シカゴ(1938)のレビュー・感想・評価
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大火災
3男のボブ(トム・ブラウン)が従業員のグレッチェン(ジューン・ストーレイ)とまず最初に結婚した。長男ジャックは順調に弁護士の道を歩むが、貧乏人からは金は取れぬとかなり苦労していそう。一方でギャンブル好きで社交家のダイオンは上院議員に上手く取り入り、パッチ地区の顔役であったウォーレン(ブライアン・ドンレヴィ)の店で歌っていたショーガールのベル・フォーセット(アリス・フェイ)に惚れて、自分の酒場を持つことになった。恋敵でもあったウォーレンに勝ち、順調に店は運営されていた。負けたウォーレンは店を手放し、市長選に立候補することになったが、そうなると自分の店が危なくなると考えたダイオンが改革派である兄ジャックを対抗馬として立候補させるよう策略する。かなり汚い手を使い、ジャックを市長選に勝たせた。そしてジャックは気をよくして、健全な街づくりを目指すためパッチ地区を一掃しようとするのだった・・・
兄弟の諍い。大人の事情というやつで、ジャックとダイアンは対立するが、そんな折、オレアリー家の納屋から失火し、それがシカゴ中を巻き込む大火となる。ウォーレンをはじめとする反ジャック派はジャックの仕業だとし、ダイアンもそれを疑ってしまった。しかし、消火作業と延焼を防ぐための爆破とか、パニック状態の中で3人兄弟は理解し合う。運命の皮肉・・・ジャックは反対派に撃たれ爆破にも遭い帰らぬ人となった。
1871年のシカゴ大火は実際に起こった19世紀最大のカタストロフィ。当時の新聞には映画と同じような原因で起こったと捏造されたほど。オレアリー家の内部はほぼフィクションらしい。
アメリカンドリームを追ってゆく家族が出世して、やがて仲たがいする内容だが、中盤辺りはかなり中だるみ。ウォーレンやダイオンをもっと悪党として描いてくれたら盛り上がったかもしれない。それでも最後の火災のシーンは凄すぎる。これが1937年の作品なんだから凄いとしかいいようがない。『風と共に去りぬ』の火災がかすんで見えるほど。まぁ、モノクロだから逆に迫力が感じられたのかもしれないが・・・
お母さんのアリス・ブラディがオスカーを受賞しているけど、注目すべきはアリス・フェイの美しさと歌の上手さ。この映画で初めて知ったよ。そしてジャック役のアメチーがオスカーを取るのはずっと先、約半世紀先の『コクーン』まで待たねばならない・・・面影ないよ。
【2012年ケーブルテレビ】
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