シェラマドレの決斗のレビュー・感想・評価
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哲学を語る西部劇
西部劇の派手な戦いを期待しては低い評価がついてしまうと思う。どうにもそういう映画では無かったらしい。楽しむために映画を観ようとすると、ちょっと辛いかも知れない。
冒頭、街の教会に向かった主人公、何があったものか、人を殺したことを、女を抱いたことを懺悔する。そして知人の元に向かう。牧場を建てよう。良い馬を手に入れた。良い暮らしを目指そうじゃないか、と。お前の父親には世話になったのだから。
その馬は奪われる。その奪った親玉は語る。主人公と同じ、アメリカ人に多くの物を奪われた。だから自分も人から奪って生きてきたのだろう。そうして力を付けてきたのだろう。
主人公を助ける老人がいる。傷ついた主人公を自分のための墓穴に隠す。生きるのが嫌になったら、自分が入るための墓だという――その老人は拷問を受ける。かつて老人は家畜を奪われた。既にその時、人生に絶望していたのだろう。またしても、羊や山羊を殺され、自らも鞭を打たれた。それでも老人は口を割らない。もはや、生きることに絶望していた。友人を裏切り、生きることを望んでなんになるのだろう――もしかしたら、冒頭で懺悔をした主人公もまた、同じ想いであったのか。
だが、老人は最後、石を掴んで敵に襲いかかる。最後は戦って死んだ。かつて、懺悔を捧げた主人公もまた、戦いに挑む。けして、馬を奪い返すためじゃない。相手の親玉を殺すと言い放つ。自ら望むことがあるならば、戦いからは逃れられぬ、と。
なんだか敵の親玉はそれほど悪人とも思えない。途中、腕相撲の勝負というチャンスを与え、煽られたとはいえ、主人公の申し出を受けて、部下を連れずに1対1の勝負を受けた。受けた恩義を返すために生きる主人公、奪い奪われて生きてきた親玉。それぞれの生き方がぶつかり合う決闘は、決してガンマン同士の派手さはなく、知恵を働かせた狙い撃ち。そんな映画じゃない、と言いたげに。
印象に残ったのは、殺された家畜が飾られた老人のためのぎこちない十字架。そして、広野に立つ赤いドレスのヒロインが実に美しかった。
若きマーロン・ブランド、さすがにイケメン。ゴッドファーザーしか印象...
マーロンブランドの西部劇
若きマーロン・ブランド
ゴッドファーザーでお馴染みのマーロン・ブランドがまだまだ若い。でも声はちょっとしゃがれた感じ。
西部劇独特の派手な撃ち合いはないけれど、サソリに噛まれる罰ありの腕相撲は、なかなか珍しい。
辺りを掌握しているメキシコ人チューイの妻、トリニが彼を助けて逃げる。
毒を出すハーブの飲み物を作ってくれたり、彼らを匿うヤギ達と暮らすお爺さんがとても良かった。
盗まれた馬をとり戻しに行く時に兄弟同然に育った男に「誰も信じるな」と言われた言葉。
でも爺さんは、彼らの味方で良かった◎ヤギをほぼ殺されて、ムチ打たれても、消して口を割らないカッコよさ。
広大な荒れ果てた土地と紅いドレス!今で言う「映え」てます。美しかった◎
NHK BS録画
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