エレファント・マンのレビュー・感想・評価
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40年の時を経ても色褪せない
この映画が上映された当時、中学生だった。
40年という時間を経て、また再びこの作品を観られた喜びは【映画だからこそ味わえる至福】他ならない。
素晴らしいキャストの方々が、当然の事ながら他界しているという一抹の寂しさを感じるが……
この時代は洋画・邦画を問わず【いい作品】が多く、今回を機に【再上映】という枠があってもいいのでは?と感じました。
スクリーンという空間は【自分の人生も投影してくれる】と気付かせていただいた。
醜さも美しさも外見ではなく心
昔、フィルム上映で観た時より、クリアな印象。
どのくらい4K修復のリマスターが綺麗なのかと観に行ったら、大袈裟かもしれないけど、新作みたいでした。
この画面確認のためだけでも、行ってよかった。
すごいですな、今のリマスター技術は。
ところで、改めての鑑賞で、子どもの頃よりはっきりと「まともな外見でも、エレファント・マンを見世物扱いし、笑い、差別する人間の方がよほど怪物だし醜い」と思わせてくれました。
いや、SNSなどで差別やヘイトが横行する今の時代だからこそ、かえってこの作品のテーマが染みたのかもしれません。
こんな素晴らしい映画がこの世にあったなんて。
おじいさんになってからのジョン・ハートしか知らず、彼の昔の有名出演作らしいということで、4K修復版の劇場公開を とりあえず見に行ったのですが・・・
これがもう、大傑作。ジョン・メリックの心が美しすぎて、観終わっても動揺し続けている。
人生で、この映画に出会えて良かったと思った。だいぶ遅きに失してる感はありますが。
大昔に観たと思いますが、見世物小屋のシーンしか覚えていませんでした...
大昔に観たと思いますが、見世物小屋のシーンしか覚えていませんでした。
子どものころで、怖くて続きが観れなかったのかもしれません。
150年前に比べればよっぽどマシですが、今でも異形の者に対する差別は厳然と存在します。
この映画を観て、少しでも差別が無くなるといいですね。
じぶんの醜い心を映し出す鏡
正直、とても後味の悪い作品である。
なぜなら人間が持つ醜い心を暴き出される映画だからだ。
自分は、研究の好奇心にかられた(最初の頃の)トリーヴス医師であり、カネが人生の全ての見世物小屋の興行主であり、「異形」を怖いもの見たさにかられた見物客、と同じだという「鏡」を目の前に見せつけられる。
David Lynchから大きな課題を与えられたが、今回は簡単に解が出そうにない。
メリックのうつくしい心根が、せめてもの救いだ。
【”I am not an animal! I am a human being!" 人の善性と悪性を美しきモノクロ映像で描き出した作品。<4K修復版にて鑑賞>】
ー19世紀のロンドンに実在した人物の物語。モノクロ映像の”黒”の美しさが印象的。ー
■今作の魅力
1.19世紀ロンドンの貧富の差が、衣装を通じてきちんと描かれている所。又、ロンドン病院の内装、意匠の美しさも素晴らしい。
2.人間扱いされていなかった、”エレファント・マン”がジョン・メリックという一人の知性ある人間であることを山あり、谷ありのストーリー展開の中で徐々に表していく所。又、その過程で、愚かしき人間の姿もきちんと描き出している所。
3.物語の切り替わりが暗転で行われている所。
4.哀切なトーンのメインテーマ。
・19世紀のロンドンの見世物小屋には、様々な”見世物にされている人たち”がいた。小人症、シャム双生児・・。だが、”エレファント・マン”と書かれた小屋は締まっている。ロンドン病院の外科医トリーヴス(アンソニー・ホプキンス)は興味を惹かれ、興行師バイツにお金を渡し、特別に見せて貰う。涙する、トリーヴス。
ー序盤は、”エレファント・マン”の姿は露わにされない。ー
・バイツに激しく棒で打たれた”エレファント・マン”を見たトリーヴスはバイツと掛け合い、傷を癒す間、彼をロンドン病院で治療する約束をし、病院の一室に住まわせる。
が、その事実が公になり、上流階級の愚かしき人々が”お見舞い”と称して、彼に会いに来るようになる。
ー気の強い婦長から”貴方がやっていることは、興行師と同じ!”と言われ悩むトリーヴスの姿。その中で、彼は”エレファント・マン”は、ジョン・メリックという名の21才の若者で、知性も教養もあることに気づくのだが、トリーヴスを演じたアンソニー・ホプキンスが素晴らしい。-
・ジョン・メリックは与えられた部屋の中で、小さな窓から見える大聖堂の模型を作る日々。大女優ケンドールとも交流が生まれ、彼女から写真を貰い、舞台にも招待される。が、愚かしき人々から安息の日々を奪われそうになるジョン・メリック。
<ラスト、壊された大聖堂の模型を修復し、”これで、終わった・・”と呟き、母とケンドールの写真を枕元に置いて、”人間として、人間が眠る姿勢で”床に入るジョン・メリックの姿は、沁みます・・。>
<2000年頃、DVDにて鑑賞>
<2020年7月12日 4K修復版を劇場にて鑑賞>
■蛇足
・興行師バイツが連れていた少年が、「ボヘミアン・ラプソディー」の制作をブライアン・シンガー監督から引き継ぎ、「ロケット・マン」でも監督した、デクスター・フレッチャーだったとは・・。
・初見の時は”当たり前だが”予想もしなかった・・。嬉しい、映画の連鎖である。。
リンチワールドが見え隠れするヒューマンドラマ
確か月曜ロードショーで放映されたのを観て以来、実に数十年ぶりに4Kで再見。
デイヴィッド・リンチがどういう監督なのかを知った今となっては、フリークスへの偏愛ぶりやホラー的演出などは、いかにも彼らしい。
今やハンディキャップ映画は珍しくなくなったものの、それでもエレファント・マンが背負う過酷な運命は、他の追随を許さない。
にしても、たまたま会話していた相手がアメリカのインランド・エンパイアという地域の出身と聞き、その地名から映画『インランド・エンパイア』を思いついたリンチが、「エレファント・マン」というタイトルに惹かれて監督することにしたというあたり、インスピレーションや直感に従う作品づくりはホントにブレない。
リメイク希望
1980年の映画なのに白黒で、カット割りから音楽まで50年遡るような凝った作りの映画。
時代が19世紀ロンドンだからなのか、この映画のテーマ故なのか。
見世物になっていたジョンを招き、安住の住処を与えた外科医トリーブス。彼の人脈なのか、人気の舞台女優など有名人がジョンを慰問するようになり、その事が新聞記事に取りざたされる様になる。ジョンの世話をしていた看護士がトリーブスに言う。
「ジョンがまた見世物になっています!」
トリーブスが自問自答し始める。
「自分も、ジョンを見世物にしていた男と変わりないのか・・・」
しかし観客は知っている。トリーブスはジョンと初めて会ったとき流した涙を。
ここに限らず、終始胸が抉られる話でした。
アンソニーホプキンス若い!髪フサフサ!
悲しくてなんとも言えない気持ちになった
前情報あまりなく、デビッドリンチ監督という事で見てみた。
この時代のイギリスと物語との雰囲気は絶妙で、見てよかった一作。
なんて不平等なんだろう。。
最後まで辛い気持ちにさせられる映画だった。
人間の善と悪
これは素晴らしい作品。人間の善と悪の両面をマザマザと見せつけられた印象。外見だけで相手を判断する人間の愚かさを気付かされる。無駄なシーンも一切無く、最後までリンチ監督の世界観に引き込まれた。これぞ映画、感服しました。
2018-135
そこいら中にエレファント・マンはいるのだ
なんと醜悪な、正視に耐えない、
吐き気を催すほどの化け物だ
しかしそれはジョン・メリックのことではない
病院の下働きの男と、彼に金を払って夜間に彼のを好奇の視線で覗く面々のことだ
そして本作をエレファント・マンとはどんな奇形の人間なんだろうと興味本位に観に行った過去の自分のことでもある
自分もまた見世物小屋に群がる人々と同じではなかったのか
トリーヴス医師もまた、あの興業師が喝破したように、学会で他の医師に見せびらかす事が目的だったのだ
見世物小屋で金を稼ぐか、自己の研究成果として学会での地歩を固めるかの違いでしかない
見世物小屋の口上シーンと学会の発表シーンは見事な相似形を描く
しかしジョンに知性があることを知って、扱いを改めて人間として接するようになる
もしジョンに知性がなければ?
あのまま?
人間扱いしていない?
研究対象として飽きたら、彼を一体どうしたのだろう?
衰弱して倒れてしまい、役にたたなくなったジョンを杖で殴りつけ、激しく突く扱いをする興業師とどこが違うのだろう
相模原の知的障害者施設で大量殺人事件を起こした犯人の視線とどこが違うというのだろう?
ジョンは知性を隠していたのだろうか?
生まれてこの方、誰からも愛されず生きてきたのだ
両親からも捨てられたのだろうか?
興業師に売られたのかも知れない
写真の中の母の美しさだけが彼の知る唯一の愛だったのだ
人間の尊厳を来る日も来る日も毎日否定されて育つことが、一体どれほどの苦しみだったのだろうか?
人間の尊厳を認められないとは、それはコミュニケーションを否定されることだ
それゆえに知性なぞ必要ではなかったのだ
知性が在ることを伝えても誰からも取り合ってはくれないのだから
だからジョンはトリーヴス医師も最初は何も信用していなかったのだ
なんという深い絶望なのだろう
人間でいる必要がなかったのだ
人間であると思ったら生きてはいられなかったのかも知れない
自分に知性があるのかをトリーヴス医師と院長は知りたいのだと理解したとき、彼は人間に立ち戻ったのだ
生まれて初めてのコミュニケーションの成立だったのかも知れない
トリーヴス医師もまた、彼とコミュニケーションできたとき、彼は人間であることを、今更ながらにして理解したのだ
そして恥ずべきは自分であると知ったのだ
エレファント・マン
それは奇形の人間の物語
見た目が異常だから差別を受けた
しかし外見ではなく、内面が少し変わっていても
いやそれどころか、どこも何も変わりもないのにイジメという差別をよってたかってする連中もいる
コミュニケーションを拒否する人がいる
親でさえ、教師でさえ、そういう人間がいる
その現実に絶望のあまり自ら命を絶つ人さえいる
死をえらばなくても、ジョンのように精神が衰弱していく人もいる
そこいら中にエレファント・マンはいるのだ
私達は病院の下働きの男や彼が引き入れた低劣な人々になってはいないだろうか?
自分が恥ずべき人間になってはいないだろうか?
相手を理解しようとするこころ
コミュニケーションを厭わずにとろうとする努力
トリーヴス医師のように自ら気づいて改められるのだ
遅いということはないのだ
「デヴィッド・リンチの映画」特集上映
史実を元に描かれた映画だがまるで「イレイザーヘッド」の赤ちゃん"スパイク"が成長してからの物語にも思えてD・リンチと相思相愛でぴったり。
大袈裟に感傷的な演出描写は控え目に何か突き離した目線で描かれているようにも思えてA・ホプキンスの役柄がドコか冷たく若干引き気味な雰囲気で!?
モノクロでの不気味な世界観に工業地帯や意味深なイメージ映像とD・リンチの色がハッキリと表れて単に感動する作品から逸れているのが好感触。
偽善だとしても美しい
産まれつきの奇病により身体が奇形と化していた青年ジョセフメリックの一生を彼を支えた医師トリーブスら周囲の人々と共に描いたノンフィクション作品。
実話を基にした作品で、一部からは人の不幸を文芸映画風にしていると痛烈な批判を受けていたり、前作のイレイザーヘッドを観たのちに今作を観ると監督のデビッドリンチが異形のものを描きたかっただけではないのかなどの考えに行き着くかもしれないが、映画しては感動できるとても良い作品だと思う。
見世物小屋で晒し者の扱いを受けていたジョセフメリックが、外科医のフレデリックトリーブスに出会い、研究の名目で病院にて面倒を見てもらうことから始める今作。
顔面や身体の骨が異常なまでに突起し、唇は異常にめくり上がり発声もままならない姿であったが、聖書を熱心に読み込み発生の練習を独自に重ね、美しいものを見たときに感動する心を持っているなどの意外な素顔を見せていくメリックに研究対象以上の関心を持ち始めるトリーブスの関係が美しい。
メリックが世間的にも注目されていく中で、見世物小屋で働かせ賃金を稼いでいたバイツの懇願でメリックを奪還した夜警のジムに対して、トリーブスが怒りを爆発させたシーンは思わず泣いた。そしてその後ジムを殴り失神させた婦長に爆笑&さらに号泣笑。
メリックを学会で発表した功績で医師としての株と患者からの人気を得たトリーブスが結果としてメリックをバイツと同様に晒し者のようにしてしまっているのではないかという罪悪感に対して、メリックはそんなことを微塵も感じずにただひたすらにトリーブスに感謝している気持ちを表している対比でまた涙腺壊れた笑。
映像的にも題材的にももしかしたら映画化すべきものではなかったかもしれないが、とりあえずこの2人の関係性は美しい。
若かりし頃のアンソニーホプキンスの熱演もすごく良かった。
自尊心
エレファントマン
我々は誰しも人から差別される要素とか持ってると思うんだけど、その大きさとか形とかによってここまで人生が左右されるって何なんだろう。内面的か外見的か。
胸糞悪いシーンも多くて、あんなにも簡単に人の自尊心を奪うことが出来るんだなって感じた。
でも私もアンソニーホプキンスにはなれなくて、きっと嫌な男の周りにいた女か、拍手を送る1人にしかなれない。
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