最後のギャング
解説
「倒れるまで」「都会の雷鳴」のエドワード・G・ロビンソンが主演する映画で「スタア誕生(1937)」と同じくウィリアム・A・ウェルマンとロバート・カースンが書卸し「我は海の子」のジョン・リー・メインが脚色し「命を賭ける男(1937)」「少年G戦線」のエドワード・ルドウィグが監督に当り、「椿姫(1937)」「結婚十字路」のウィリアム・ダニエルスが撮影した。助演は「第7天国」のジェームズ・スチュアート、「囁きの木陰」ローゼ・ストナー、「スタア誕生(1937)」のライオネル・スタンダー、「軍使」のダグラス・スコット、「台風」のジョン・キャラディンその他である。
1937年製作/アメリカ
原題または英題:The Last Gangster
ストーリー
アメリカでギャングの親分として鳴らしたジョウは、生れ故郷の中欧へ行ってタルヤという美しい娘を娶って帰来した。タルヤは英語を解せぬので、夫の罪状はもちろん仕事については何も知らなかった。ジョウが彼女と結婚したのは強い子供が欲しいからで、別に彼女を愛している訳ではなかった。日頃から反目しているギャングのカイル兄弟が、留守中に縄張りを荒らしたことを、子分の「カーリー」に聞いたジョウは、烈火の如く怒って手下を引き連れて襲撃し兄弟3人を殺したが、辛くも危地を脱したエーシイは復讐の機会を狙っていた。その翌朝、ジョウはタルヤから妊娠したと聞いて非常に喜んでいる時、警察からの手入れがあって彼はカイル兄弟の殺人容疑で拘引された。警察は彼が犯人であることを信じていたが、充分な証拠が挙がらぬので止むなく放免しなければならなかった。しかし聯邦政府は彼を脱税のかどで逮捕した。ジョウは顧問弁護士のゴーマンが必ず有利に解決してくれると信じて裁判を受けたが、以外にも峻烈な論告の末に10年の刑を宣告された。驚きと怒りに燃えたジョウも、冷たい牢獄の中では何事もなし得なかった。牢へ移される日に彼はタルヤに男の子が生まれたことを聞いた。間もなく妻が赤坊を連れて面会に来た時、彼は子供だけを喜んでタルヤを眼中に置かなかった。こうしたことが重なるにつれ、彼女は夫が少しも自分を愛していないのを知って深く失望した。ある日タルヤが面会を終えて帰ろうとした時、新聞記者ポールは赤坊に拳銃を与えてそれを写真に撮り、ギャングの子供として記事に出したので、タルヤは直ちに新聞社に抗議に行き、そこで初めてジョウがギャングの親分であることを知った。彼女は子供の将来のため姓名を変えようとジョウに訴えたが、彼は新聞に子供がでたのを喜び、タルヤを眼中にないと放言したので、彼女は再び夫に愛児を渡さぬ決心をしてジョウと別れた。ポールはこの事件で自責を感じて辞職したが、2人の間に交渉が生れて2年後にポールとタルヤは結婚し、子供も彼を実の父と信じて成長した。10年が経過して出獄したジョウを、「カーリイ」とその仲間が金の所在を言わせるため、子供を誘拐して責めたので、彼はついに口を割った。ジョウは子供を連れて夫婦を訪れ、自分の実子であると打明けさせようとしたが子供は信じなかった。彼は初めて我が不見識に恥じてその場を立去ったが、あくまで復讐の機会を狙っていたエーシイとの間に激しい争闘を演じ、2人は相重なって非業の最後をとげたのであった。
スタッフ・キャスト
- 監督
- エドワード・ルドウィグ
- 脚本
- ジョン・リー・メイヒン
- 原作
- ウィリアム・A・ウェルマン
- ロバート・カーソン
- 撮影
- ウィリアム・H・ダニエルズ