曠野に叫ぶ(1930)

解説

「滅びゆく民族」「水盡くる大地」等の原作者として有名なゼーン・グレイ氏の筆になったストーリーからジョン・ハンター・ブース氏、シートン・I・ミラー氏が脚色、台詞をつけたものでF・W・ムルナウ氏の助監督をしてるA・F・エリクソン氏が「地獄の女」「都会の女」と同様監督に当り、対話の場面は特にA・H・ヴァン・ビュレン氏が担任、撮影は「浮気発散」「赤い酒」のダニエル・B・クラーク氏がクランクした。主役を演ずるのは「ノアの箱船」「最敬礼」のジョージ・オブライエン氏でほかに「浮気発散」「ヨーロッパ突進」のスー・キャロル嬢、「紐育萬華鏡」のウォーレン・ハイマー氏、「ロマンスの河」のウォルター・マッグレイル氏、「懐しのアリゾナ」のロイ・スチュアート氏、「レビューのパリっ子」のラッセル・シンプソン氏、コリン・チェース氏、リチャード・アレクサンダー氏、その他が助演している。

1930年製作/64分/アメリカ
原題または英題:Lone Star Ranger

ストーリー

正当防衛から人を死に至らしめたバック・デュエーンが山林監視人に追われメキシコ国境のリオ・グランデ川に沿って逃げて来た時彼は美しい娘の姿を過ぎゆく馬車の中に見かけた。追跡隊の眼から離れてホット息をついた彼の眼前で先刻の馬車が山賊に襲われている。早速救助にかけつけたバックの行為に娘は厚く感謝した。娘の名はメエリー・アルドリッヂと言った。バックは再会を約して彼女と別れて行った。テキサス州のヴァル・ヴァーデスに来たバックはメエリーの叔父というのが家畜泥棒団の頭目ホルトであると知った。山林監視人の絶え間なき追跡を避けるためバックが秘密の隠れ家へ来た時、彼はそこで監視人隊の隊長マクナリーと顔を合わせてしまった。だが隊長はバックを捕える代りに若しホルト一味を捜し出すなら許すという條件で彼を放免する。バックは再びメエリーと会った。二人の間に恋が芽生えた。山小屋にホルトの部下ロウソン一派がララミー牧場を襲はうと相談しているのを聞いたバックは急ぎその牧場へ立ち廻ったが既に遅く牧場主は彼等の手に殺されていた。バックは賊の行方を訪ねその巣窟と覚しき家へ辿りついたがそれはアルドリッヂの家であった。そこへ飛び込んだバックは己が身を護るため発砲せねばならなかった。そして彼等の罠にかかって逃れ難いことを知るやバックはそれと知らずにメエリーの部屋に隠れた。何も知らなかったメエリーはこの騒ぎに驚いたが叔父の告白によって初めて自分が盗賊団長の姪であることが判った。メエリーの言葉によって団長の心が改悛に向いつつあると認めたバックは多勢が去った後ホルトをマクナリーのもとへ連行して行こうと計った。この時ロウソン達が現われてバックに挑戦した。激闘数刻の後ロウソンは即死しバックは傷ついた。彼を愛するメエリーは優しくバックを介抱するのであった。バックの罪晴れる日も近いであろう。

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