恋のかけひき

解説

コンスタンス・タルマッジ嬢のファースト・ナショナル社に於ける最後の主演映画で「桃色女白浪」に次いで製作されたもの。アンドレ・ビラボー氏作の舞台喜劇に基いてフレッド・デ・グレサック女史が執筆した映画物語をジャック・ジェヴン氏が脚色し、「飛入ボクシング大勝利」「駄法螺大当り」「三日伯爵」等と同じくマルコム・セント・クレア氏が監督した。相手役は「カルメン(1927)」「猿は語る」等出演のドン・アルヴァラド氏と「後家さん御用心」「恋愛保険」等出演のブライアント・ウォッシュバーン氏で、アリス・ホワイト嬢、ポーレット・デュヴァル嬢、マリー・ドレッスラー嬢、アルバート・グラン氏等が助演している。

1927年製作/アメリカ
原題:Breakfast At Sunrise

ストーリー

男は恋するために生き、女は生きるために恋をするパリに於いて、新築落成したスプランディッド旅館は今日が開業だった。数多い客室の半ばは投宿客に占められた。そして残りの半数の客室には旅館で雇ったお客が泊った。アメリカ富豪令嬢マドレーヌ・リイはもちろん前者だった。破産したパリジャンのピエール・リュッサンは後者だった。2人は晩饗の卓に合客となったばかりに表面だけ名目だけとは云え結婚することになった。というのはマドレーヌにはセリゼー侯爵という恋人があったが、侯爵は彼女が晩饗を食べようというのを病気と構して断って置きながらあらぬ女とこの旅館の食堂に来ていたのである。そしてピエールの恋人の踊り子ルウルウは破産した彼を振って金持の老人と矢張りこの食堂で会食していたのである。それを見せられて腹の虫の納まらぬマドレーヌとピエールが、各々の恋人えの面当てに苟且の夫婦となったのである。そして2人は各々の恋人を取戻そうと試みたが何れも思はしくなかった。そのうちに同じ家に暮したマドレーヌとピエールとの間には不知不識の間に誠の恋が芽生えた。しかし2人とも詰らぬ意地の張りづくから、この苟且ならぬ恋心を打明け合はうとは中々しなかった。その場句ピエールはマドレーヌと別れる決心で荷造りを始めた。ところへ美しいマドレーヌを忘れかねた侯爵と、新たに事業に成功したピエールを又候食い物にしようとするルウルウとが訪ねて来た。しかしこの2人の来訪者はマドレーヌとピエールとの抑え耐えていた恋心に燃え立つ機会を与えたのだった。2人は何事も忘れて抱擁していた。應接室に待呆うけを食った侯爵とルウルウとはやがて手をとり合って退出した。

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