「世界統一の夢」クレオパトラ(1963) ノリック007さんの映画レビュー(感想・評価)
世界統一の夢
この時代のことについて、興味も関心もない人が鑑賞しても退屈な映画です。
この時代のことについて、興味も関心もあり、事前に時代背景を理解しているなら楽しめる映画です。
公開は1963年11月26日で、半世紀以上前の映画ですが、見ごたえはあります。
上映時間は244分で、4時間を超えます。
スペクタクルな戦闘シーンを期待すると、期待外れになります。
CGなしで、豪華な巨大セットの中で行われる会話劇という感じです。
史実とは、少し異なり、演出もありますが、クレオパトラという人の人生を知ることができることに鑑賞するだけの価値はあります。
クレオパトラがローマへ凱旋してくるパレードは、史実ではないようです。
クレオパトラは、この程度のパレードを、アレクサンドリアで良く行っていたそうです。
クレオパトラは、王家に生まれ、教養を身につけ、市民の支持を得て、国を統治しますが、共和制から皇帝制に代わるローマという外国の時代の変化、ジュリアス・シーザーの後継者争いに負けて、自殺しました。
クレオパトラは、アレキサンダー大王の世界統一を実現し、世界に平和をもたらすという野望を持つような女性です。
クレオパトラは、エジプトの食料と金で、ローマ帝国を支援することで、この野望をあと少しという所まで、行うところが凄いです。
クレオパトラが、世界統一を実現し、世界に平和をもたらしていたら、どんな世界になっていたのだろうかと想像しても、想像できません。
クレオパトラのような女性は、想像できません。
王家に生まれた女性が、教養を身につけ、市民の支持を得て、国を統治した、例は思いつきません。
主人公はクレオパトラですが、クレオパトラを取り巻く男達がクレオパトラを引き立てています。
クレオパトラを取り巻く男達は、ジュリアス・シーザー、マーク・アントニーとオクタビアヌスで、歴史に残る偉人達です。
ジュリアス・シーザー、マーク・アントニーとオクタビアヌスも、特徴を良くとらえて、演出されています。
ジュリアス・シーザーは、非の付け所がない、スーパースターです。
マーク・アントニーは、勇敢に戦いますが、謀略には嵌められてしまいます。
オクタビアヌスは、戦うことなく、謀略を駆使して、勝利します。
ジュリアス・シーザー、シーザリオンとシーザー・オクタビアヌスという3人のシーザーの物語としても、面白いです。
ジュリアス・シーザーは、残された人生で、何かを成し遂げようと、皇帝になろうと焦った結果、暗殺されます。
シーザリオンは、ジュリアス・シーザーの子供というだけで、シーザー・オクタビアヌスに殺されます。
シーザー・オクタビアヌスは、若くして、ジュリアス・シーザーの後継者になり、ローマ帝国初代皇帝になります。
エジプト・プトレマイオス朝の最後、ローマ共和制の最後、ローマ皇帝制の始まりを知ることもできます。
エジプトは、この後、約2000年間もの間、支配され続けました。