「ドロシー・アーズナー監督の傑作!」クレイグの妻 たいちぃさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0ドロシー・アーズナー監督の傑作!

2022年4月27日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

シネマヴェーラ渋谷にて鑑賞。(勝手に4本立ての1本目)

先日観た『恋に踊る』が傑作だったので「ドロシー・アーズナー監督作品は機会あれば観ること」にして、本作も観た。
ドロシー・アーズナー監督作は3本目だが、この映画も素晴らしき傑作!
何と言っても、主演を演じたロザリンド・ラッセルの怖さが見事!

夫(ジョン・ボールズ)が妻(ロザリンド・ラッセル)に「君は“家”と結婚した…」と言うセリフが、この恐ろしい妻の本質を表現している。

物語は、ある夫婦が豪邸に住んでいて、メイドも2人いる。
妻ハリエット(ロザリンド・ラッセル)の姉が入院したため妻が遠くの病院に行っている時、その家の夫ウォルター(ジョン・ボールズ)はポーカー遊びに友人宅へ行く。
その友人ファーガス(トーマス・ミッチェル)は、なぜか友人達から敬遠されるようになっていて、ポーカーに来たのはウォルターのみ。ファーガスの妻も外で浮気する姿が映されることで、ファーガスの窮地が鮮明に描かれる。
豪邸に妻ハリエットが帰宅して、家の中を全てコントロールする姿は恐ろしいまでに徹底している。ロザリンド・ラッセルが好演。
ハリエットは、姪の婚約者から電話がかかってきても取りつがず、義理の母が隣人を家に呼ぶと嫌がり、隣人から貰った花を飾っても花が散って床が汚れる、義理の母が家を出て行く時の引越し屋が床に傷をつけようものなら狂ったように喚き散らす……などなど。
更に、夫がポーカーしに行ったファーガス夫妻が死んだ時、警察から夫ウォルターも事情聴取を受けるが、妻ハリエットは「夫の有罪/無罪よりも世間体が大事!」と言って“家”に執着するあたりも凄過ぎる。
その後も物語は続くが、長くなるので割愛。

終盤、ロザリンド・ラッセルの姿を映すローアングルから見上げるカメラは、彼女の後ろに立派な屋敷の階段を映しており、妻と家を中心に据えたショットはドロシー・アーズナー監督の才能を顕著に見せる名場面だと思う。

ドロシー・アーズナー監督、やはり見逃せない映画作家である。

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たいちぃ