キング・ホース

解説

名馬レックス号を主役とする映画で、従来女監督だったアール・ヘイリーの監督昇進処女作品である。ジョージ・B・サイツ総指揮の基にアリゾナにロケーションして撮影されたもの。原作は監督ヘイリーが執筆し、フレッド・マイトンが脚色にあたった。レックス号を助けれ牝馬レディー号、悪漢役マーキス号が出演するが、人間の助演俳優は「紐育の仇討」のウィリアム・ジャニー、「処女読本(1932)」のドロシー・アップルビー、「消えゆく国境」のウォーレス・マクドナルド、「地下鉄殺人事件」のハリー・シーメルス等で、キャメラはベンジャミン・H・クラインの担任である。

1933年製作/アメリカ
原題:King of the Wild Horses

ストーリー

政府派遣の馬匹検査官と称するクリント・ボーリングはアリゾナの北部ナヴァヨインド人集落付近の広野に放牧の状態にされている野馬を捕獲しようと無頼の徒を引き連れて乗り込んで来た。この馬群の指導者はレックスという精悍な黒馬だった。ちょうど成人の歳に達した酋長の息子レッド・ウルフは、父の命によりレックスを生け捕ることとなり、広野を馳駆した末、流砂地に追い詰めて捕えることができた。レッド・ウルフはレックスに夢中になって許婚者ワニマのことさえ忘れがちであった。レッド・ウルフを愛しているワニマはそのために嫉妬を起こすという騒ぎさえ持ち上がった。ボーリングはレックスの健康を調べるという名目でやって来て、あわよくば射殺しようという腹だった。しかしいかにも病馬とは言えないのでボーリングは腹いせにレックスを揶揄し虐待した。人の性質を鋭い直感で悟るレックスはボーリングを憎悪し、檻を破って彼に復讐しようと追跡した。一方ワシントンからクリント・ボーリングなる者は政府派遣の検査官でも何でもない詐欺漢であると知らせがあったので、集落では彼を捕えんと追跡隊を組織した。他方ボーリングはレックスを失って指導者が無くなっている馬群を、自分の馬マーキスを使って巧みに捕獲しようとしていた。折柄現われたレックスは馬群を呼び戻し、マーキスに飛び掛かってついに倒した。怒ったレックスはさらに逃れんとするボーリングを鉄蹄に蹂躪してしまった。かくてレッド・ウルフはレックスを愛人ワニマの軒につなぎ求婚の贈り物とした。

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