「非現実的なアクションシーンの連続に見入るが、その代償として人間ドラマが希薄」M:I-2 Gustavさんの映画レビュー(感想・評価)
非現実的なアクションシーンの連続に見入るが、その代償として人間ドラマが希薄
トム・クルーズがプロデューサーも兼ねて代表作に育て上げた「ミッション:インポッシブル」シリーズの第二作。危険なアクションシーンの連続に挑戦するクルーズの役者魂には感心するし、制作当時37歳の気力充実な演技もその若さと爽やかさで好感度高く、娯楽アクション映画として息する暇もなく最後まで観られるのは確か。その代償として脚本に省略や説明不足が多く、物語を理解するのが一度の見学では難しいのが欠点として残る。
監督は「バイオレンスの詩人」と呼ばれるジョン・ウーで、今回初めての鑑賞となりました。スローモーションの多用と非現実的で超人的アクションシーンの対比が特徴のようですが、人間ドラマの演出に拘りがなく、主演トム・クルーズと相手役タンディ・ニュートンの恋愛心理が淡白で盛り上がりに欠けます。元同僚で恋敵になるダダレイ・スコット含め演技力を備えた役者のキャスティングが生かされているとは感じませんでした。脚本のコンセプト、制作主演のクルーズの要望もあってか、ウー監督だけの問題では無いのでしょうが、やはり物足りない。それは特別ゲスト出演の名優アンソニー・ホプキンスの演技にも表れていて、他のベテラン俳優でも熟せた役柄で終わっています。解説を読んで驚いたのは、スコットの部下役リチャード・ロクスバーグがゲイの設定ということ。これは演出に反映されていません。見返すと納得はするものの、それならもっと面白く表現できたはずです。クルーズのチームを組むヴィング・レイムスとジョン・ポルソンは共に添え物扱いで存在感なく印象に残らない。
20時間で死に至るキメラウイルスとその治療薬ベレロフォンの題材は、今日の視点から興味深く見ました。お金に執着する人間の細菌利用を批判するメッセージが無い不満は、この時代では仕方なかったかも知れません。