仮出獄の女
解説
「進めオリンピック」「女は真っ平(1931)」のエドワード・クラインが監督に当たった映画で、ノーマン・クラスナが原作脚色したもの。主役は「待ちかねる処女」「夜の世界」のメイ・クラークと「たそがれの女」「大空の闘士」のラルフ・ベラミーが勤め、「ミス・ダイナマイト」「生の創め」のヘール・ハミルトン、「マデロンの悲劇」「怒号する天地(1932)」のマリー・プレヴォー、「暴君ネロ(1932)」「グランド・ホテル」のフェルディナンド・ゴットシャルク等が助演している。撮影は「沈黙の証人」「西部無敵王」のジョセフ・H・オーガストが担当。
1933年製作/アメリカ
原題または英題:Parole Girl
ストーリー
父が病中厚い世話になった義理に絡まれ、純情の乙女シルヴィアは恩人トニイの手先となって心ならずもデパート荒らしをやらなければならなかった。巧みに仕組んだスリ劇の一くさりでデパートを嫌がらせては金を巻き上げていたが、ある一件のデパートでとうとうその「手」がばれ、彼女は捕らえられ2年の刑を言い渡されて刑務所へ送られた。そのとき彼女は、デパートの支配人ジョー・スミスの冷酷な処置を恨んで、固く復讐を心に誓った。ところが刑務所で仲間の女囚ジーニイがかつてスミスの学生時代に彼と結婚したが、まだ離婚はしていないという話を聞き、たちまちシルヴィアの胸には一策が浮かんだ。彼女は刑務所の作業室に自ら放火し、かいがいしく立ち働いてそれを消し止め、その勇敢な行為によってまんまと仮出獄を許された。そしてトニイの求婚と悪事への誘惑を拒絶しひたすら復讐の一念に燃えて、あるパーティーで巧みにスミスに近づいた。翌朝自分のアパートで眼を覚ましたスミスは、なんと昨夜泥酔の揚句シルヴィアと結婚したと聞かされて大いに驚いたが、そこへシルヴィアに買収されたトニイが牧師に化けて現れたので、彼はますますシルヴィアと結婚したと信じてしまい、重婚の罪が発覚して逮捕される事を心配し出した。シルヴィアは得たりと、向こう1カ年間彼の名ばかりの妻になるから、その間の彼女の買い物代は一切彼に支払って貰う、さもなければ二重結婚の一件を暴露すると言い放った。併し再び現れたトニイはシルヴィアを口説いて撥ねつけられた腹癒せに彼女の手提げの中に偽札を忍ばせておいた。それを知らずに使ったシルヴィアが逮捕されようとした際、スミスが好意的の証言をして彼女を庇ってくれたため、疑惑が晴れた。そのスミスの態度に感激したシルヴィアは以前の恨みを忘れ、彼の元を去ろうと決心した。そこへ仮出獄で出てきたジーニイが訪ねて来たので、シルヴィアはスミスに迷惑が掛かるのを恐れ、ジーニイと一緒にフロリダへたった。車中でジーニイはメキシコへ行って秘密にスミスと離婚した事を語った。今では心からスミスを愛しているシルヴィアは、これを聞くとすぐ引き返した。家ではスミスがトニイから聞いて何もかも承知の上シルヴィアの帰るのを待ち侘びていたので、二人は今度は本当に結婚することになった。
スタッフ・キャスト
- 監督
- エドワード・クライン
- 脚色
- ノーマン・クラスナー
- 撮影
- ジョセフ・オーガスト