劇場公開日 1955年1月14日

「波乱万丈の人間劇」エジプト人 Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0波乱万丈の人間劇

2013年3月2日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

難しい

総合:80点
ストーリー:85
キャスト:80
演出:75
ビジュアル:65
音楽:65

 純粋に貧困層のために尽くそうとしたシヌヒが、悪女の虜になって身を崩して心に傷をおっていく様子が痛々しく、そんなになった彼にまだ無償の愛を注ぐメリトが心に響いた。その反動で変わっていくシヌヒと、それでも祖国を忘れられない郷愁の念を持ち、遂には王朝の動乱に関わっていく波乱万丈の物語は壮大だった。純粋から堕ちていって金満主義になり、またそこから信念を取り戻していく変遷が面白い。

 野心を持ち有能な友人のホレムヒブや悪女のネフェルもいいのだが、片目の奴隷のカプターが特に気に入った。この嘘つきというか要領の良すぎるやつというか、どんな立場に追い込まれても都合のいい言葉が次々に出てくる交渉術のうまさには目を見張るものがある。それなのに最後まで主人には忠誠を尽くし最後まで裏切らない。彼の過去にはかなりの不幸もあっただろうに、それを表に出さず、主人の危機にもめげずに彼を助けて一緒に世界を放浪する。片目になった理由は次は何が出てくるのだろうかと期待させてくれた。

 金をかけた様子はするのだが、多くは外ではなくスタジオで撮影したというのもわかってしまう。セットにいかにもな作り物感があった。古い映画だけあってこれは仕方がないだろうし、このあたりにはあまり多くを期待してはいけない。

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Cape God