一夜の秘密
解説
「婦人に御給仕」「セレナーデ」と同じくアドルフ・マンジュウ氏主演映画で「ラ・トスカ」「フェドラ」等の作者たるヴィクトリエン・サルドウの劇に基づいて前記2映画と同じくエルネスト・ヴァイダ氏が脚色し、「恋は盲目」「燃ゆる唇」と同じくロタール・メンデス氏が監督したものである。マンジュウ氏を助けて「最後の命令」「ショウ・ダウン」等出演のイヴリン・ブレント嬢、「先駆者時代」「ジェスジェームズ」のノラ・レーン嬢、「神我に二十銭を賜う」「漂泊人」ノウィリアム・コリアー氏、等が出演している。
1928年製作/アメリカ
原題または英題:A Night of Mystery
ストーリー
パリで奉職していたフェレオル大尉はアルジエに転任することになったので、彼の親友ボアマルテル判事の邸で大尉送別の宴が催された。大尉は許嫁のテレエズ・デグルモンとその兄ジェロオムを同伴して臨席した。その時テレエズは母の形見の首飾りをつけていた。ボアマルテル判事の妻のジルベルトは前からフェレオル大尉に想いを懸けていてこの夜も大尉に会いたいと言ったが、友情に篤くまたテレエズを愛する彼はこの申し出を断わり、ジルベルドから受け取った古手紙を返すことだけを承諾した。その夜半大尉はジルベルドを訪ねて約を果たし、ボアマルテル邸を出ると邸に隣接する公園で守衛マルキャスが人を殺している現場を見た。殺されたのは彼の妻と密通していいたロオシュという男だったが、マルキャスはこの犯罪を口外すれば大尉がボアマルテル夫人と秘かに逢ったことをばらすと威嚇した。大尉は沈黙を守って赴任したが、間もなくテレエズからの手紙は意外にも公園内の殺人事件の犯人としてジェロオムが捕縛されたことを知らせた。大尉は急遽パリに帰った。公判においては被告に不利な証言が続出しジェロオムはついに私刑を宣せられた。その証言の1つは被告が妹テレエズの首飾りを抵当に被害者ロオシュから金を借りていてフェレオル大尉送別会の夜それを借り戻すために争論したこと。その2はジェロオムが夜半公園を徒徊したのを目撃されたこと。第3は公園守衛マルキャスが現場付近で発見した紙入れの中にあるべきジェロオムの証書が抜き取られていることであった。ジェロオムの無罪を知るのは大尉とマルキャスだけであった。ただしこれを明るみにだせばボアマルテル判事夫妻の名誉が失われるので大尉は一応判事夫人ジルベルトに相談すると絶対に口外するなと頼まれた。次にマルキャスに自白を強要し自白発表前に国外に逃れさせようと申し出たが、それも拒絶されたので、フェレオル大尉は愛人兄妹のために自殺を決してボアマルテル判事に犯人は自分であるとの告白書を送った。判事はフェレオルを自邸に招き事情を聴取した上ロオシュの紙入れを投棄した場所を訊ね、発見者マルキャスを呼んで証言させようとした。ところがフェレオルと判事との姿を見たマルキャスは自分の罪がばれたものと早合点し自ら罪状を告白した。
スタッフ・キャスト
- 監督
- ロタール・メンデス
- 脚本
- エルネスト・バイダ
- 翻訳
- エルネスト・バイダ
- 原作戯曲
- ヴィクトリエン・サルドウ
- 撮影
- ハリー・フィッシュベック