劇場公開日 1958年5月17日

生きていた男のレビュー・感想・評価

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5.0ミステリーの秀作!

2019年2月20日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 実際、兄の顔とどれくらい差があったのだろうか、兄ウォード(トッド)を名乗る男と疑い続けるキム(バクスター)との壮絶なる駆け引きが見ている者をも混乱させる。

 兄は一年前に死んだはずだと訴え続けるキム。しかし、状況証拠として、男が持っていた免許証やパスポートは全て彼を本物のウォードだと証明する。警察署長バルガス(ロム)も全く疑わず、本人に違いないと判断する。唯一、キムが死亡確認でアフリカまで行っているのだが、彼女が確認したのだから、それも疑わしいと言われる始末だ。

 本物と認めたくないキムが嘘をついているのか、ウォードが完璧なまでの用意周到さで嘘をついているのか、どちらなのかわからなくするミスリード的ミステリー。レーサーだったウォードの腕を確かめるため、風光明媚な断崖絶壁の海岸線を走らせて確かめようとするキム。「3分半で一周すればOKだな?」などと言い、結果が3分4秒。途中のカーアクションは60年前の映画とは思えないほどの出来栄えで、足が突っ張るほど緊張させられた。

 男が兄ウォードではないことの証明をしようと必死になるキム。雑誌の表紙を飾るほどのスタイルのいい美人(ウェストがMM並み)でもあったことから、ダイヤ会社を経営していた亡父のことも徹底的に調べ上げたに違いない。腕にある錨の刺青、過去に作ってくれたカクテル、キムの謎の行動等々、もうウォード側の目線で見てしまい、バレないようにと願ってしまうほどになってしまった。何しろ、冒頭では相棒の女性ホイットマン(フェイス・ブルック)と密談してるから、怪しいったりゃありゃしない。逆に生意気そうな娘をへこませてやりたい気分になってくるから不思議だ。

 ついに大好きな叔父までもが「久しぶり」とかいってウォードと名乗る男にハグしたりして、徐々に「もしかしたら本当に兄なのかもしれない」と思いもよぎるキム。もしや本当にパニック障害のおかげで兄を信じられなくなっていたのか。などと、両方の視点で物語の顛末を確かめたくなってワクワクする終盤。

 そうだ、指紋で兄じゃないことを証明すればいいんだわ!と、終盤、キムはバルガスを味方に引き入れ、非本人証明を試みる。しかし、ウォードたちは貸金庫のサインや、遺言書のサインを巧みにキムにさせようとし、彼女を殺そうという不穏な動きになるのだった・・・

 スペインのことわざに「秘密を守る者は友を持つ」などと、ジ・エンドのロゴの後に登場する監督(?)のおかげで、誰にも結末を言えなくなってしまう。だから、みんなに観てもらいたい映画になりました。

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kossy