「このキャスティングに納得。エンディングはブレードランナーかな。」マルドゥック・スクランブル 排気 aotokageさんの映画レビュー(感想・評価)
このキャスティングに納得。エンディングはブレードランナーかな。
三部作「圧縮」「燃焼」に続く完結編。悲惨な境遇から拾われて娼婦としてだが華やかな生活をしていた少女バロットは、恩人であり庇護者でもあったカジノ経営者シェルに理由もわからぬまま殺されかけた。法廷でシェルの悪事を暴く証人とすべく、ドクターイースターらに禁じられた特殊技術を施されて、バロットは死の淵から甦った。法廷の外でバロットを暗殺するため、シェルが雇った残虐な殺し屋たちも、改造されたバロットと万能兵器でもある喋る金色のネズミ・ウフコックのコンビの前に撃退されるが、ウフコックの元相棒の凄腕ボイルドによって二人とも深い傷を負ってしまう。
危ういところをドクターイースターに助けられ、秘密施設[楽園]で療養し、一時の安らぎを得ていたが、そこもボイルドに急襲され命からがら脱出。シェルの取り除かれた記憶がカジノの100万ドルのポーカーチップの中に隠されていると知ったバロットたちは、それを入手すべく、シェルの経営するカジノに客として堂々と乗り込み一大勝負を挑む。(ここまで前二作)
カジノシーンは、初心者にもやさしくポーカーの細かいルールから丁寧に解説。万能兵器ウフコックにもカードを操作することはできず、カジノ初心者のバロットとカードを自由に揃えることもできるという超絶ディーラーとの駆け引きが繰り広げられる。このカジノシーンが長いので、あとは駆け足ぎみ。
見せ場のバトルシーンは、圧縮のようなバイオレンスさはなく、華奢な美少女バロットが精神的にも成長して縦横無尽に駆け巡り痛快だ。ここはもっと長く見たかったところ。
これは少女の復讐譚ではなく、ちょっとねじれた三角関係の物語のようだった。ドラえもんの秘密のポケットのように望むもの何にでも変身できる万能兵器ウフコックも、今回はバロットの肌身から離れず一心同体と化す。今回はほんとに声だけだったけど、八嶋智人はいい声だなぁと、このキャスティングに納得。エンディングはブレードランナーかな。