劇場公開日 2013年11月1日

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「法律に逆らえば時に称賛される。 慣習に背けば社会から排斥される」42 世界を変えた男 野川新栄さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0法律に逆らえば時に称賛される。 慣習に背けば社会から排斥される

2022年9月6日
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鑑賞方法:DVD/BD

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メジャーリーグ30球団全ての永久欠番42のきっかけとなった「黒人初のメジャーリーガー」ジャッキー・ロビンソンの伝記映画である
ただ厳密にはジャッキーは黒人初のメジャーリーガーではない
MLB体制が確立後初の黒人メジャーリーガーであってそれ以前にも何人かいたようだ
いかにMLBは素晴らしいかという世界的宣伝の広告塔的役割を亡くなってだいぶ経ってもなおジャッキーはそれを続けさせられているわけだ
全ての選手が背番号42をつけて試合をするイベントは全体主義に見えて異様であり滑稽であり偽善であり悪ふざけにさえ思える
僕はみんなと一緒に同じことをする団体行動が苦手なせいもありこういうのはあまり好きじゃない
はっきりいって気持ち悪い

話を映画の内容に戻すとどんなに侮辱されても公衆の面前では我慢して紳士のふりをしなくてはいけない契約はあまりにもハードルが高い
右の頬を殴られたら左の頬をさし出すなんていくら敬虔なクリスチャンでも闘争本能の塊のアメリカ人にそんなことができるわけがない
紳士になれとは紳士じゃない人が言われるわけで紳士なら言われないのだからそれを思うと昔の巨人の選手はよっぽど野蛮だったのだろう
今の巨人の選手が紳士かというとかなり疑問だが
時代はだいぶあとだがかつて巨人でもプレーしたレジー・スミスは甲子園で練習中にスタンドから阪神ファンにしつこく何度も「ニガー」と揶揄われ球場外でその人物を見つけた彼は一発顔面にお仕置きパンチをお見舞いしたらしい
また別の日にしつこくつきまとう別の阪神ファンは無視されことに腹を立てたのか隣を歩いていたまだ幼いレジーの息子を腹癒せで突き飛ばす暴挙にレジーの怒りは爆発し顔面に一発お見舞いして警察沙汰になったそうだ
それが当たり前である
だからこそジャッキー・ロビンソンは偉大でありアメリカ人の模範なのかもしれない

まあ伝記映画だから事実を捻じ曲げて自由奔放にはできないのでまあこんなもんでしょう
まずまずってところ
映画は時間の制限がありそれを思えばうまくまとめた
人種差別問題に興味はあっても野球に全く興味がない人にはあまり楽しめないだろう
逆に野球に造詣が深い人にはたぶん物足りない内容だと思う
ジャッキー・ロビンソンに詳しい人にとっては映画を観る前からネタバレになるのも仕方がないタイプの映画

中途半端にメジャーの知識があると「ドジャースがブルックリン?」「ロイヤルズがドジャース傘下の3Aチーム?」などと戸惑うかもしれない

クビになった監督と渋々引き受けた新監督の人物像をもっと掘り下げても良かった気もするがそれでは群像劇になってしまうわけでこれはジャッキーの映画だからアナザーストーリーはまた別の機会で

ロビンソン夫妻や広報担当の記者の芝居は悪くはないが特に良くもなくハリウッドの役者としては平均的な感じ
黒人差別主義者でもないし白豪主義者でもないがやはりオーナー役のハリソン・フォードの枯れた芝居は圧巻
さすが永遠のビッグスター
彼こそ本物のハリウッドスター
彼を観るだけでもこの映画を見る価値がある

あとフィリーズのベン・チャップマン監督を演じた役者の台詞はあまりにも酷く衝撃的で呆れてしまった
だがボキャブラリーは豊富で不謹慎かつ語弊があるかもしれないがブラックなユーモアがある
それに比べたら5ちゃんねるとかヤフコメとかTwitterなんて退屈すぎて欠伸がでる
ハリウッド映画の一番の長所は罵倒の類が面白いってこと
脚本はその点で優れている

ジャッキーに憧れた黒人少年が大人になってメジャーリーガーとして大成するエピソードは素敵

あと男同士とはいえ仕切りなしにみんなでシャワー浴びるのってなんか気持ち悪い
発展場にはならないだろうけど今の時代ならコロナもあってこうはいくまい

あと昨今のハリウッドではエキストラにアジア系が目立つことがよくあるが今作はそれを感じなかった

あと浮気で監督クビになるなんて厳しすぎる
好感度が命のCMタレントじゃあるまいし
これがNPBでも活用されるなら読売巨人軍の原辰徳監督はとっくに永久追放処分だよ

野川新栄
野川新栄さんのコメント
2023年5月14日

映画comではブランク・リッチーだけど
正しくはブランチ・リッキーが正解
スペルを確認すると「ク」と「チー」は絶対にありえない
これは凡ミスですな
他人のこと言えないけど
そっちはプロだし

野川新栄