永遠の0のレビュー・感想・評価
全629件中、481~500件目を表示
“超”娯楽映画
祖父が2人いるということを唐突に伝えられたショックから、姉の誘いもあって、顔を知らないもう一人の祖父の経緯を探す。
やがて、その祖父が戦時中「臆病者」と呼ばれ、最終的に特攻隊に参加し亡くなったことを知る。
なぜ臆病者と呼ばれたのか、どういう経緯で特攻隊へ参加したのか・・・。
三丁目の夕日でVFXが評価された山崎貴監督が描く戦争映画が「永遠の0」だ。
原作は小説で、自分は未読。
なので映画が原作通りなのかどうかは言及しないが、もし原作通りであるなら、これほどまでに軽々しく商業を第一に考えた無粋な映画及び小説はないだろうと感じずにはいられない。
裏を返せば、原作がそうであっても、それをぶち壊すほどの衝撃を作り出すことを映画では出来たはずだ。それをやらなかったことからも、この映画が昨今の売り上げ史上主義な業界から来る質の低下の一翼になっていると思われても仕方が無い。
主人公は岡田准一演じる「宮部久蔵」。
物語の都合上、現代と過去を行き来しながら物語を演出していくため、主演の割には出演時間はそれほど長くない。
が、普通ならその少ない出演時間を無駄なく使って宮部久蔵という男を描く描写が欠かせないはずだ。
この宮部久蔵、CMでも見受けられるように当時の束縛感が蔓延していた時代に“生きることを第一に考える”というイレギュラーな考えを声にして言う極めて現代的なキャラクターだ。
だからといって当時の人間はそうは思わなかったとは限らない。特攻隊の人達の遺言書からもそれらは見て取れる。宮部のこの台詞及び信念については別に違和感を感じない。
違和感を感じるのはその言葉に対する宮部の姿勢だ。
味方が戦っている中で乱戦を避け、安全を第一に考えるという宮部の意思は、零戦を知り尽くした人ならではの効率的な考え方だ。
だが、その行動に至るまでの葛藤が描かれていない。
空戦の中で味方が次々と死んでいくという中で、悪く言えば一人高みの見物だ。
そのことについての上官からのお咎めや自身の中に生まれるはずの「助けれなかった」「助けた」という葛藤が描かれていない。
端折ったとでも言うのか?
宮部のこの行動に至るまでの経緯があるからこそ、特攻に異を唱える宮部の気持ちが確立する。この行動をどうやって上官達に説明したのかさえ皆目検討もつかない。不思議な箇所の1つだ。
そして終盤になると、その見るも無残にも特攻に駆り出される仲間達を見て精神的に追い詰められてしまう。
一体宮部は戦場で何を見てきたのか?
特攻という状況下になって初めて気づいたとでも言うのか?
これでは臆病者以前に、単に鈍感で馬鹿でヘタレな人間としか思えない。というか実際にそう描かれてしまっている。
その不足気味な描写から得られるのは、宮部の非人間的な部分。
これに共感なんざ出来るわけがない。
「思い人のために生きる」という理由も、言い換えれば戦場で共に戦ってる仲間達は別にいいのか?ということになる。
無理矢理戦場に駆り出された者もいる時代背景を無視したキャラクター作りだ。
戦争及び当時の日本の束縛感からなる、非常に緊迫し、張り裂けそうな状況とはほど遠い“戦争ごっこというサバゲー”の中で戦う男達と見られてもおかしくない。
面白いのは頼みの綱であるVFXがものの見事に幼稚化してることだ。
三丁目の夕日とは違って、重い、重すぎるテーマを扱うこの映画。
戦闘描写は戦争という状況を描く大切な部分で、残酷さや無慈悲さ、理不尽さといったものを描き、ようやく観ている側は「ああ、これは戦争なんだ」と感じる。
だが映画で描かれている戦闘はただのカッコつけた、ミリタリー好きに媚びた演出ばかりだ。
遠景の、艦船が轟沈する様を映し出しているかと思えば、カメラを掠めるようにカットインしてくる零戦・・・というふうに、非常に演出された戦闘を随所に盛り込んでいる。それはさながらアニメでも見ているかのようなわざとらしさ。
三丁目の夕日と違うのは上にも書いたとおり、重いテーマを扱っているうえに、タッチもコミカルではないシリアスなもの。
なのに非常にファンタジーな、カッコつけたような演出ばかりで、シリアスとは程遠い「緩さ」を演出してしまっている。
おまけに背景と零戦がものの見事にミスマッチになっているなど、売りのVFXももはや形無しといった具合だ。
そういった緩さはVFXだけではない。
劇中、宮部が敵機に後ろを取られ危険に晒されることになる場面があるが、それを宮部が否定する特攻で戦友が助けるというのだ。
戦友はかろうじて生き延びるが・・・まず高速で動く敵機に体当たりするというありえないことをやってのけていることが、この映画の緩さを物語っている。
そして特攻を否定している宮部はそのことについて感謝するだけ。お前の特攻に対する意識はどこに行ったんだ?とツッコミを入れたくなる。
終盤のラブストーリーなんかは、観客に不快感を得られないよう、なるべく双方の存在を観客に植え付けさせて納得させようとする一種の辻褄あわせの作業。
それまで登場時間が少なかった井上真央が、終盤メインに近い出演時間になる構造などが拍車をかける。
そのせいで宮部という一人の人間の経緯から取り巻きのラブストーリーというものに変化し、物語の主軸がブレてしまっている。
2時間20分という長い上映時間がもはや無駄。地上波で1時間ドラマとしてやっていったほうがまた評価できる。
ここまで書けばわかると思うが、つまりこの映画は誰にもわかりやすい単純明快な自己犠牲の物語だということ。
定型文で構成された映画と言ってもいい。それぐらい普遍的な物語。
作中の戦争や特攻などは、ただの設定に成り下がっているため深く掘り下げる必要は無い。勿論、反戦などというメッセージ性なんてものも皆無だ。
この物語は、当時の戦争や特攻を題材にしなくても成立する。それぐらい気楽な映画だということ。
この映画を「素晴らしい」と評価すること自体無粋。もっと気楽に見る映画だよと言いたい。
特撮が素晴らしかった
戦争はすべきでない
三浦くんが特攻隊で亡くなった祖父の過去を姉と調べ。生きようとしていた祖父が何故、死を選んだか?岡田君が妻に(絶対生きて帰ってくる、死んでも帰って来る)言った言葉は心に残ります。0戦の名手だった彼が死ななければいけない気持ちになったのは分かります。0戦で飛び立つ時、不時着しそうな機に妻子の写真を残して宜しく頼まれた彼が責任から結婚まで行く過程は理解できます。あの時代兄が戦死すれば、家を絶やさないため妻が弟の嫁になるのはざらでしたし、だからと言って彼がそうだとは言いません。私の父は戦争の話は絶対しませんでしたが、義父は物資輸送中にトラックが崖に落ちて大けがして帰って来たそうです。それがなければ全滅した部隊だったそうです。戦場では耐えきれなくて精神異常になっつた人はまとめて土に埋められたそうです。生きたくても生きれない人がほとんどでしょう!残された人も苦渋の日々だったでしょう。このような映画は戦争を知らない若い人に見て欲しい。私も戦後生まれですがそう思います。
共感出来ず残念でした
2014年1月5日作品を拝見しました。
こちらでの評価が4.2と評判も良く期待していきました。
結論としては、共感するところ無く残念に感じた映画でした。
一番残念に感じたのは、宮部の気持ちに共感を覚えなかったことです。
「家族である松乃、その子供清子のために何としてでも生きて帰る」という宮部が持つ感情は、”今の時代なら”当然理解出来るものと思いますし、だからこその高評価なのかと推測しました。
でも、どうでしょうか。
多くの若者が当たり前のように特攻を志願した時代背景のなかでは、「お国のため」あるいは、表だって口には出せなかったと想像しますが「自分が一番大切に思う人たちを失いたくない」「愛する家族を守るため」そういう思いで、自ら望んで特攻の道を選んだのではないでしょうか。あの作中の多くの若者のように。
戦争に負けても、生き残りさえすれば家族を守っていける、イチから立ち直れると思えるのは、戦後の日本復興を知っている現代人だから抱くことが可能な感情に思えます。
自分は戦争を経験した世代ではありませんのであくまで想像で書いています。ぜひ、戦争を経験し生き抜いた方からの感想も聞きたいと感じました。
ちゃんと生きようと思った
最高の映画でした。三浦春馬の演技が少し気になった(大げさ?)けどキャスト、映像、演出、脚本、いうことなしです。何十分に一回は泣いてました。様々な視点で語られる宮部と戦争。[あの時代の人なら誰でも持っている、決して特別ではない悲しい物語]というようなセリフが特に印象的でした。しばらく経ったらまた観たいです
静かにやさしく強く
静かに涙が止まらなくなる、そんな映画でした。
戦争映画は知らなければいけないような気がして意識して色々と観てきましたが、その中でも1番胸にきました。
ただ、現代に零戦が現れる演出は…ちょっと残念でしたね。他の表現の仕方はなかったのでしょうか??過去パートの演技にリアリティーがあって素晴らしかっただけに尚更、残念でした。
若い方々に、戦争映画は苦手という方々に是非とも観ていただきたいです。
セリフだけで泣けました
初めて映画館で見た戦争もの
期待しすぎたかなー。
エンドロールでも泣けた。
ゼロ戦の空中戦がすごかった。CGだとおもうけど、雲の中を縫ってのドッグファイトとか本当に迫力あってすごかった。
途中で橋爪功さんや、夏八木勲さんが言う印象的な台詞があるんですが、それが本当に本当だなぁ。。。って涙腺崩壊ですよ。
夏八木勲さんは特に。。。エンドロールで名前出て泣けましたよ。
あとエンディングの桑田さんの曲も(/ _ ; )
岡田准一はカッコいい。。1人トレーニングの肉体とか、黒の略式軍装が。。。まあかっこいいですわ。特にファンってわけじゃないけど。
秀作、傑作、ゆえに惜しい
正月一発目に鑑賞。
席の埋まり具合は6割程度、かなり大入り。
内容は原作を読んでいないので映画のみの評価になるが、非常にドラマがしっかりと作られていて、二時間半の長編ながらも全く飽きさせることなく観れてしまう。
監督はジュブナイル、リターナーに始まり近年には三丁目の夕日を作った山崎貴監督。VFXに定評のある監督。
のはずだった。
なんだあのCGは?
スピード感の無い戦闘シーン、あまりにも綺麗に見せすぎるCG。
もっと臨場感があってもいいんじゃないかと。
なんでこんなに模型的なのか、と。
VFXに定評があるはずの監督作品だけに、戦闘シーンが引っかかって引っかかって。
フィルムで上映している館があるとは思えないけど、これはフィルムで観たかった。
チープなCGで☆マイナス1。
脚本なのか、キャストなのか。
過去の話については…
岡田准一はかっこいいし、男らしい。濱田岳のおどおどした感じから生き抜くと意地を張るか従うかへの迷い?も垣間見ることができた。また、過去を語るメンツも素晴らしい。
けれど、最後のやついる?
ゼロ戦が現代で飛んじゃうやつとか、三浦春馬がなくところとか。
特に、三浦春馬の演技はわざとっぽくて気持ち悪い。この人はどの作品もこんな感じだけど、この作品とはかなりのミスマッチみたい。
観ていて彼が出ると、さーっと覚めてしまうから面白さが半減でした。
いい映画なんだけど…。
新しい戦争映画。
戦争の切り取り方としては抜群のアイデアだと思う。
いまの世代の若者が、特攻で死んだ実の祖父の足跡をたどる。そのなかであの時代の空気を少しだけでもかぐ。
戦争を知らない我々ができる方法のひとつであろう。
山崎貴といえばVFXに長けているというイメージがあるので、戦闘シーンに目を奪われがちだ。
確かに真珠湾攻撃のシーンは「パール・ハーバー」(マイケル・ベイ監督)に負けていなかった、気がする。
しかし、それだけではない何かがこの監督にはある。「ジュブナイル」の頃から感じていた。それが何か、言葉にはっきりできないのがもどかしいが、その何かが本作では発揮されている気がする。
原作を読んだときも思ったし、今回も思ったが、少しご都合主義のところがある。
健太郎(三浦春馬)と慶子(吹石一恵)が自分たちの本当の祖父のことを調べたいと言い出したとき、賢一郎(夏八木勲)はなぜ真実を話さなかったんだろう。健太郎が景浦(田中みん)にもう一度会いに行かなかったら、賢一郎はどうするつもりだったのだろう。
最初に臆病者だとか恥さらしだとか言われて、井崎(橋爪功)に会って、やっと祖父の真の姿に近づく。最初に井崎に会ってたらどうなってた?
この瑕疵は映画においては、田中みん、新井浩文や夏八木勲、染谷将太の好演に助けられている。
ラストの宮部(岡田准一)の表情は何をあらわしているのだろうか。
映画は不思議な余韻を残して終わる。
後世に伝えるということ
靖国
1960年初め生まれの私は、大東亜戦争の実体験はもちろんありません。祖母や父は、話たがりませんでしたし若い頃は正直興味も無かったので積極的に聞きませんでした。
40を過ぎたころよりこの戦争を知らねばならない感情がめばえ、靖国神社に行きました。
この映画をきっかけに、靖国神社境内にある遊就館を見に行って欲しい。この戦争で尊い命をささげた若者の写真を見て欲しい。
批判めいたコメントは、それから言うべき。
特攻を美化してはならない。しかし、命を賭してこの国、国民、家族を守る心を「無駄」だというようなことはだんじで考えてはならないと思う。
涙が止まらない、絶対戦争は反対、しかし日本を滅ぼしかねない暴挙には、命をかけて戦うのが国民ではないか?
問いたい。
生きる意味、生き残る意義を教えてくれてありがとう
百田尚樹のベストセラー小説を、山崎貴監督&岡田准一主演で映画化した話題作。
相次ぐ絶賛の声、声、声…。
勿論期待しつつも、先日見た同じく絶賛の声が相次いだ「奇跡のリンゴ」が微妙だった事もあり、周囲に流されないぞ、という気持ちも持って、いざ鑑賞。
これは、良かった!
タッチは違うが、「男たちの大和」を見た時の感動が蘇ってきた。
ここ最近、漫画やアニメの実写化が多かった山崎監督にとっても会心作。
祖母の葬儀で、特攻で死んだ実の祖父の存在を知った弁護士を目指す青年・健太郎。祖父の事を調べ始めるが…。
前半は、戦友たちの証言で浮かび上がる祖父・宮部久蔵の人物像。
ほとんどが“臆病者”と批判するが、宮部を深く知る者の証言は違う。
死を選ぶ事が尊ばれた時代に、愛する妻と娘のもとに帰る事を願った男。部下に死よりも生を選ぶ事を教えてくれた男。
その人となりに胸が熱くなる。
後半は、誰よりも生き残る事を願った宮部が、何故特攻を選んだのか。
謎が明かされていく展開はさながらミステリータッチ(証言者の一人・田中ミンが凄みたっぷり)、その真相には胸締め付けられる。
こういう戦争映画のレビューでは、いつもくどいくらい書いているが、今戦争映画を作る意義は反戦映画である事。
そんな視点からでも、本作は好編だった。
愛する家族のもとに生きて帰る。それの何がいけない?
確かに当時の思想では軟弱だったかもしれない。
しかし、命を捧げた国が何をしてくれた? 自分が生き残らないで、誰が家族を守れる?
そして、特攻。
未来ある多くの若者たちの命を無駄に散らした作戦…いや、罪深く、悪名高い行い。
戦争自体、人を殺して賞賛される。
狂気の沙汰としか思えない。
自分は今の時代に生まれて良かったと思う。戦時中に生まれなくて良かったとも思う。
もし戦時中に生まれていたら徴兵されていた事だろう。軟弱者なので、死と隣り合わせの極限状態の中で絶望していただろう。
そんな時、宮部のような男と出会えていたら…?
生きる意味、生き残る意義を教えてくれて、ありがとう。
前半の健太郎の姿は、戦争を知らない、戦争に全く関心の無い、今をただ無意味に生きている若者たちの姿の代弁。
祖父の事を知るにつれ、健太郎は変わり始める。
若者たちは可能性を秘めている…そんなメッセージをも感じた。
今を生きる若者たちが、思いと物語を継いでいく。
全629件中、481~500件目を表示









