「ネット時代のジャンヌ・ダルク」ホワイトハウス・ダウン マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)
ネット時代のジャンヌ・ダルク
タイトルからホワイトハウスが何者かに乗っ取られる話だとわかる。そして、どうやら警備官と大統領がタッグを組んで悪者に立ち向かうようだ。さて、この映画を観に行こうか迷うのは、ジェイミー・フォックスの大統領の方はともかく、チャニング・テイタムで屈強なテロリストたちをやっつけられるのか? そういう役どころにピタリと収まるのか、そこがどうも引っ掛かる。6月に公開された「エンド・オブ・ホワイトハウス」のジェラルド・バトラーに比べると不安になってしまう。
迷いながらも観に行った。この週、ほかに観たい作品がなかったのが幸いした。観てよかった。面白い。「エンド・オブ・ホワイトハウス」よりもデキがよかったのだ。
まずチャニング・テイタムが演じるケイル議会警察官が事件に巻き込まれていく過程がいい。たまたま運良く最強の男が現場に居合わせたというのではなく、どちらかといえばエリートから外れた男が事件に遭遇してしまう。しかも、ホワイトハウス内ではぐれてしまった娘を捜すという、父親として至極当たり前の行動から事が始まる。
そして、この作品のキーパーソンがその娘・エミリーだ。現代のジャンヌ・ダルクといえるような活躍に乞うご期待だ。嘘のような働きぶりだが違和感がない。
アメリカも含めて、どこの国も未来を託せる力強く賢い子供たちを欲している願望の現れともとれる。
アメリカ万歳、大統領万歳、国民万歳のストーリーと、星条旗やハクトウワシを連想させる重厚な音楽。いかにも強い国アメリカをアピールするベタな内容だが、本来、現場で指揮を執らなければならない面々がホワイトハウスの敷地の外だったり、今どきらしくネットによる情報公開の功罪を絡めたりと、随所で気を揉ませる演出がうまく回転している。
終わってみれば、チャニング・テイタム、娘に助けられたとはいえ、けっこうやるじゃん―――なのだ。