劇場公開日 2013年9月20日

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「DQNは地球を救う」エリジウム ロロ・トマシさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5DQNは地球を救う

2013年9月22日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

興奮

皆大好き『第9地区』監督の最新作!あの突飛なアイデアと設定、度肝を抜くガジェットの連続で映画ファンの心を駿足で鷲掴みにしたニール・ブロムカンプのハリウッド超大作ですよ!
しかも監督とは『第9地区』コンビと言っても差し支えないシャルト・コプリーまでガッツリ出演でしかも凶悪極まるヒールという、こりゃあ『第9地区』ファンなら観ない訳には行かないでしょうよ!という『第9地区』で血沸き肉躍った人間にはご褒美でしかない映画!です!(よね?

この監督の手腕というか、冒頭への舞台設定の提示、説明への時間の割き方ってなかなか丁寧ですよね。前作でも感心したけど今回も唸りました。
あのね、最初物語が殆ど進まんのですよ。
地球は劣悪極まる環境で貧困層が苦しみながらも生き抜き…富裕層は地球から離れたエリジウムというスペースコロニーで暮らし…エリジウムにのみ存在する医療ポッド…病を治す為に医療ポッド目指しエリジウムに不法侵入を試みる貧困者達、それを排除しようとする政府、排除を委託される民間業者…。
この流れを淡々と映す訳です。そこにちょいちょいインサートされるのが、底辺の生活を強いられる単なる地球暮らしの元DQNな主人公、マックス(マット・デイモン)。
この一民間人マックスがはっちゃけ出した地点から物語スタート。

で、そっから何か少しずつ雲行きが怪しくなるんですよね。んー?あれー?という。
なんてーかね、あんだけ冒頭で丁寧に設定積み重ねてたのにね、後半、特にエリジウムに侵入したとこから物語が大雑把になってくんですよ。勢いだけで突っ走るというか。
あんま言っちゃうとネタバレになるから細かいこと書けないんですけども、ま要約すると「おいおい、何だここの警備?ザルじゃね?」的な、そんな展開になっちゃって。
なんかね、勿体ないんですよね。

もうちょっと脚本煮詰められなかったのかな?て。あんだけ設定しっかり構築してたのになあ、て思っちゃって。惜しいんですよ。凄く惜しい。
『第9地区』的に後半怒涛の展開に捲し立てるって芸当は、あれ『第9地区』だから成立してたんであって、今作の『エリジウム』には無理が生じちゃったのかもなあ、と。

いやね、全体的に映画としてのレベルは高いし、面白いのは保証いたします。
そりゃニール・ブロムカンプ&シャルト・コプリーですもの。つまらない訳がない。

ただちょっとこういう不満もありました、というご参考の程度に。以上です。

ロロ・トマシ