「成りきってドキドキ。」ねらわれた学園 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
成りきってドキドキ。
以前どこかのレビューでも書いた気がするけど^^;
このタイトルを聞くと、薬師丸ひろ子主演の映画版と、
原田知世のTVドラマ版が頭の中でごっちゃに思い出される。
いわゆる角川全盛時代。
どっちがどっちだったっけ?といちいち悩むのは、
関耕児(今作ではケンジ)役を演ったのが同じ高柳良一という
俳優(今はニッポン放送の社員なんだって)で、公開期もほぼ
ダブっているので、もうこの歳になると記憶が右往左往する。
で、どんな話だったか?と思うと(原作は読んでいない)
もっとSF色の強い、けっこう怖い話だったような気がする。
(TV版はギャグも混在していたような…)
配役も原作とは変わっているようだし、何度も放映された
TV版の方が眼光鋭い?伊藤かずえや本田恭章の印象が残る。
今回はアニメで、現代の新解釈版に書き直されているので、
当時観たものとはおおよそ違う。何かいかにも今風なキャラ
(オタク好み)という感じがした。が、謎の多い展開と流れの中、
何とも懐かしい奥行きを感じられる不思議な世界感を見せる。
初恋をモチーフにした恋愛模様、幼馴染みに隠された秘密、
転校生に向けられる眼差し、生徒会メンバー、音楽室のピアノ…
鎌倉の美しい風景と共に、絵は平成なのに中身が昭和のような
とにかく懐かしさばかりがこみ上げてくる感覚なのだ。
どうも今作は中高年の感動率が高いらしいが^^;それも分かる。
(ひょっとしてサブリミナルでも使ったか?)
やや分かり辛いシーンが多いものの、
登場人物其々の感情が美しい映像で(技術よねぇ)掘り下げられ
成りきってドキドキしてみたり(このババァが、とか言わないでね)
あーそうだった、そうだった、と思い返せることしきり。
今ではいじめなど深刻な問題が多い学校生活になっているけど、
そんな中でも友人関係や恋愛問題など、普通に青春している子も
いるんだろうし、皆勤賞!なんて懐かしい言葉が出てきた時には
あーいた、いた!元気な生徒がいたわねぇ…なんて思い出したり。
声高に叫んでいないが、生きていることが痛感できる物語である。
自分の命が、この世で、息衝いている歓びを感じられ、なお且つ
誰かのために協力してあげたい、助けたいという欲求も鮮やかに
描かれる。なぜこんなことになったかの起点の説明があやふやで、
後半でザザザーっと流される展開にはえっ?と思わされるものの、
エンドロール後のホッとする結末には「いいじゃん」と頷いてしまった。
AKBの渡辺麻友が声優に挑戦していたが、違和感まるでなし^^;
絵とキャラに合っていたせいか、巧く溶け込んでいたと思う。
(あーちょっと昔のが観たくなるわねぇ。もう観れない俳優も多いし)