「理想的過ぎかもしれないが、こう有りたい」桃(タオ)さんのしあわせ 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
理想的過ぎかもしれないが、こう有りたい
長年、裕福な家庭に家政婦として働いていた桃(タオ)さん。ある日、脳卒中で倒れてしまう。当たり前のように世話して貰っていた雇い主の息子で映画プロデューサーのロジャーは、桃さんの大切さに気付き、介護をする…。
11年振りの映画出演となったディニー・イップがヴェネツィア映画祭で女優賞受賞。
アンディ・ラウがプロデュースも兼ね、ノーギャラで出演。
サモ・ハン・キンポー、ツイ・ハークらが本人役でゲスト出演。
老いや介護は万国共通。
なので、すんなり作品世界に入り浸る事が出来る。
介護を描いた映画と単に言ってしまうのは勿体ない。
若い者が老いた者を介護する。
それが親子同士なら当然だが、他人の面倒を見るのはなかなか出来る事じゃない。
ましてやこの映画の二人は、雇い主と雇われの身。言わば、立場逆転。
が、桃さんが尽くしてきた歳月は60年。
長い歳月を隔てれば、血の繋がりが有ろうと無かろうと特別な存在になる。
映画の中で、ロジャーはプレミア上映という晴れの舞台に桃さんをエスコート。桃さんの病状が悪化しても献身的に介護を続ける。
老老介護が問題となっている昨今。「愛、アムール」のような厳しい現実も映画の中の出来事だけではない。
本作はひょっとして、理想的で出来過ぎかもしれない。
しかし、見習わなければいけない姿、目指したい姿がここにある。
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