「再生の時」思秋期 メイばばさんの映画レビュー(感想・評価)
再生の時
自分では多分選ばない映画ですが、息子の薦めで観ましたが、衝撃でした。
人はなにに救いを求めるかー男は酒と暴力におぼれ、自暴自棄な生活。
女は神にすがりながら、やまぬ夫の暴力に耐えている。
これが彼らの望んだ人生だとは思っていないのは明らか、どこかでこの生活から脱却したいとの
思いがこの出会いなのですよね。これを求めれば与えられるのでしょうか?
与えられても活かせないこともあるし、気づかず通り過ぎてしまう事もあるし、
また、反対にずるずると闇に引きずられてしまう場合もある。
出会いは一時の癒しと考え、また苦悩する日々に戻る、そんな人生もある。
少しの光でも長く自分の中に留めておけば、良き人生をおくれるのかなー?
ジュラシック・パークのティラノサウルスの話。
これをあだ名にするのはちょっと酷だけど、へーと思った。ジョセフの妻も衝動ありですよね。
ハンナの働いている所に彼女の夫が来て、ジョセフとの中を邪推したでしょ。
この後起こる事を彼女は解っていて涙を流す、どんなに寛容になっても救いを求めても報われないと
感じていたのでしょうかね。ハンナは「なに見ているのよ」と壁に掛けてあったキリストの
肖像画に物を投げた。もうこの時で、信仰は終わったのではないかしら。
だからジョセフの親友の葬式の後、目の周りのスゴイあざを気にすることなく、また秘密を抱えたままなのに
あんなに楽しそうにできたのかなーと思う。ここ周りの人びとの優しさ伝わってくる場面ね。
もう縛られない虚偽の生活から抜け出た嬉しさかなーと。罪よりも強い思い感じます。
そして告白―夫の屈辱的な扱いを、憎しみ、怒り、悲痛な叫びをジョセフにぶつけたでしょ。
この時まで彼女は誰にも話せず、孤独だった。
夫を罵倒した時とここ私もスッキリしたのはいけない事かも知れないけどね。
残酷な場面があるけれど、どこかホッとする様な所あり、また滑稽な所もある。
ちょっとにんまりしたのは自分の可愛がっていた犬がジョセフに殺されるでしょ。
あのアホ男怒って上半身裸になり悪態つき高い所に登って「かかってこい!」みたいな事言うけれど、
一向にジョセフの家には入っていかない。ジョセフは悠然と例のイスに座っている。
ここ、なんか可笑しい。
エンドにジョセフの語り、深くていい声でした。ハンナへの手紙はたくさんの意味教えてくれます。
ジョセフは偶然あの店に行ったのではなかったということも。印象に残った言葉は
「サムと君だけが笑顔をくれた。神を求めにいったんじゃない。君の笑顔で照らしてほしかった。
美しい君をただ見ていたかった。その人を知ろうとすると蔭も見えてくる。完璧な人間などいないのだから」
刑務所の場面でのハンナのあの穏やかな表情に、これからの人生を窺い知る事が出来る。
それと罪人は黄色いチョッキの様なもの着でいるので、面会者との区別がつきました。
1本の映画をこんなに掘り下げて観たのは初めてかなー。素晴らしい映画でした。
参考文を読み、DVD2回、3回と観ていく内に間違った解釈をしていた自分と向き合い、
私なりの新しい発見があり、エッ、この歳で成長?マスマス映画好きになりました。さて、これが実生活で役に立っているかは定かではないけれど・・・。