「衝動と欲望と運命の狭間で。」テイク・ディス・ワルツ Tony52484さんの映画レビュー(感想・評価)
衝動と欲望と運命の狭間で。
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いくつかの恋愛をしてきた人なら、既婚・未婚に関わらず、主人公に共感するはずだ。
恋の糸口を見つけると、人はそれがあたかも「そうなるべきだった」かの様に、振る舞い始める。
主人公マーゴは、夫と魅力的な男性との間で、顔をくしゃくしゃにして悩む。
(その姿が、愛らしい!けど危なっかしい!)
夫はいい人なんだけど、どこか噛み合わない。出会った男性はなんだかミステリアスでチャーミング。
パートナーとの関係が、安定していればしている程、心が揺れ動きそうな状況。
マーゴは、"I'm afraid of being afraid (不安でいる事が不安なの)"と作中で言ったり、自分に自信がなさそうだったり、素直じゃなさそうだったり... 世に言うこじらせ女子?な感じだから、さぁ大変!
監督サラ・ポーリーが、マーゴの表情の変化を丁寧に切り取るから、心の葛藤が手に取るように分かる。
恋をすると全てが"meant to be(そうなる運命)"に感じてしまうけれど、それは心がそう思うことを望んでいるから。
その"meant to be"こそが、一歩踏み出す勇気とか、ぐっと耐え忍ぶこととか、諦めることとか、そのすべての行動の原動力になる。
彼女は決断を下すけれど、その内容はどちらでも良くて、結局は心がその決断をどう思い続けられるか、なのだと思い知らされる。
夫のルーが、マーゴに毎日していたいたずらについて語る下りが忘れられない。
もしかしたら"meant to be"と、思えるのは今ではなく、何十年も先なのかもしれない。
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