劇場公開日 2012年9月28日

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「よく出来た戦争風刺映画ですな〜」アイアン・スカイ cani tsuyoさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5よく出来た戦争風刺映画ですな〜

2014年2月12日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

笑える

楽しい

先の大戦が終了後も月の裏側にナチ残党が生息しており、虎視眈々と地球侵略を狙っていた。
そこに月の調査のために到着したブラックアメリカカンが捕獲されるが、地球侵略の視察のために地球にナチ総統候補とそのフィアンセと一緒に地球ツアーに。
フィアンセはナチスの間違いを知ることになるが、ナチ総統候補は準備を整え、地球に総攻撃をかけることとなる。
月の裏側にいるナチ残党VS地球連合軍の宇宙戦争が始まる!
果たして地球を守ることが出来るのか?人類に未来は?
とSF映画ものっぽく書いたが、かなりの風刺映画です。

まずはナチスへの風刺。
ナチスにいた人体実験をしてたマッドサイエンティストのパロディーがあったり、優性遺伝についてのギャグがあったり、月での教育にチャップリンのヒトラーを風刺していた映画の非風刺部分だけを流してとてつもなく人格者として児童教育してたり、地球でネオナチのスキンズを好青年といったり…
ナチスにたいして多少の知識があれば笑えるネタが満載。

次にアメリカにたいしての風刺。
大統領の「月と戦争すれば2期目の大統領選も再選確実!」と国内政治のために戦争を仕掛けたり、核兵器だろうがジャイアニズム的な正義のもとに武力行使をはかる、利益が出るとこはなんとしてもアメリカが総取りしようと目論む。そんで歯向う諸外国から利益を守ろうと必至。

総じて既得権益を持った絶対正義を振りかざす輩はナチだろうが、アメリカだろうが関係なくクソだといっているかのよう。
これってサシャ・バロン・コーエンのディクテーターと似たような手法で、ナチっていう今はパロディーの対象に出来るものを引き合いに出して結局アメリカも一緒じゃん!って言っているんじゃないだろうか!?

それを説教臭くなく、ふざけすぎず良い塩梅で作っているのが流石!
そういうことをサラッとやれるのがユーモアであり、インテリジェンスだと思いました。

メッセージ性以外の所ではヴィジュアル面が良い意味で安いところがこの映画の塩梅に合っていると思う。
単純に低予算が問題なのだが、CGが妙につるっとしていて宇宙、UFO、諸々の機器にリアル感がなかったりするところなんてこの映画のスタンスにちょうどいいと思う。
月の裏側の大戦時の機械にイノベーションはないが、進化した感じのするサイバーパンク感も最高です。

cani tsuyo