「ホアキンの演技に終始惹かれっぱなし。」ザ・マスター crisさんの映画レビュー(感想・評価)
ホアキンの演技に終始惹かれっぱなし。
これはほんと観て良かった。
このホアキン・フェニックスの演技を観てないのは勿体なかった。
今年2024年で観た作品で、これが1番になりそうだな。
最近はずっとRyan Gosling祭だったのに、急にホアキンの演技が観たくなって最近観てるけど...やあ......すごい。単純すぎる褒め言葉だけど、ほんとにすごいとシンプルに「すごい」だけ言っちゃうんだな。
約2時間、頭から最後までホアキン演技に夢中だった。
なんで?なんであんなに惹きつけられるのか?
なんだろな、集中してるからなんだろうな。自分のことに。
だから、見やすいんだろうな。見てしまうんだろうな。
媚びてない。自分のやるべきことに全身全霊を傾けてる姿、それを見てる側も集中させられる。
周りの何かによって、自分の集中がブレることはないというか。
当てはまるいい言葉が出てこないんだけど
何かに集中してる人を見れるって、人にいい効果をもたらしてる気がする。
スポーツを見てるような。集中しているアスリートを見てるような。
見てるこっちも一緒に集中できてる。
映画なら必ずしも集中できるわけではない。
中には集中が途切れる作品もあるわけで。
だからこういう、最初っから最後まで集中させてくれる作品に出会えるとすごく嬉しい。
ホアキンフェニックスがとにかく終始すごかった。
どうすごかったんだろう。
最初はココナッツ割ってるシーンから。あそこでもう惹きつけられてる。
どういう人間なんだ?と、登場した瞬間に興味がわいてる。
そこからずーーっと。ずーーーっとこの人間に興味が湧いてしまう。
めちゃくちゃ生きてる。フリじゃない。ホアキンフェニックスでもない。
このフレディという人間が生きてた。動いてた。
猟奇的であり、野犬のような荒々しさ獰猛さ。
従順さ、悲しみ、トラウマも持っている。ときにとても切ない顔をする。
笑ったり怒ったり泣いたり。
悪い、どうしようもないヤツのようで、なぜか放って置けない不思議な魅力もあって。
こんな人間をどうやって役作りしたんだ?できるんだ?なれるんだ?
この映画で鍵となるフレディの特性って
怒り悲しみトラウマ不安、いろんなネガティブなものを抱えているけど、弱っていく・無気力になっていくのではなく、フレディーの場合、生きる力、パワー、マグマみたいなものがすごくあることだ。
だから見てるとすっごいエナジー、生きてるエネルギーを感じる。
そういうところに、マスターは惹かれたのだろう。
だから彼をそばに置いていたのだろう。
どうしようもないとこがあるんだけど、彼フレディから感じるエネルギーをスルーすることはできなかったんだろう。
まるで獰猛な犬を辛抱強くしつけしているかのようだった。
手がやける。でも愛情がある。
この作品のあらすじ・説明文には「マスターの右腕までのぼりつめた」と書いてあったから、「有能で頭が切れる敏腕」みたいなイメージをしてたけど全然違った(笑)右腕、というか....舎弟、みたいな感じかも。
印象的なシーン、いっぱいあったなあ。
印象的すぎて笑ってしまったり。
なんかまだこんなに映画を見て新鮮に驚けたり、興味を惹きつけられたりできる作品があることが嬉しい。
・牢屋シーン
刑務所に連れてこられて引きづられてるところからもうすっごい始まってる。で牢屋に入った瞬間にベットのカバーか何かを食いちぎる。
そして便器を蹴り壊し、二段ベット?みたいなのの上段を下から背中でバンバンバンバン持ち上げる。ずーーっと。怒りクレイジー獰猛爆発。
あれすーごいエネルギーだった。見ちゃう。
・バイクシーン
マスターから次フレディやってみろと言われ乗る。
すごいスピードで走り続けるフレディ。
マスター心の中:すごいスピード出してんな、あいつやるなあ。,,,あれ、もしかしてあいつ...おい....ど、っこまで行くねん「フレディーーーー!!!」
のこの流れ、マスターのフレディー叫ぶところまでの流れが笑ってしまう。
おそらく視聴者みな、フレディがバイクに跨った瞬間から「おいおいフレディに乗せたらダメだって。絶対なんか起きるよ、知らないよ、やらかすよ」って思いがあるから、そうなるわな!で笑っちゃったと思う。
・ようこそフィラデルフィアへ
玄関で出迎えてきた人、あれ...ローラダーンじゃね?...声だけのシーン...喋ってる...この喋り方ぜったいローラダーンだ....ローラダーンだったらめっちゃこの作品合ってるわ!って胸高鳴った次の瞬間、ローラダーンがバーンと映ったからめっちゃニヤけた。最高だ配役。
ローラダーン主演ドラマ「ENLIGHTED」を思い出す。内容的にも。
・アリゾナ?で写真撮影
ピント合ってるのか?のシーン
3、2、1でシャッターを切る瞬間の、めっちゃ笑顔、すごい愛嬌ではにかむホアキンの姿、佇まい。数回巻き戻して見た。
・ラストの方、イギリスでマスターと対話
自由なんだ、自由気ままに生きていい。マスターの下につかなくていい。
マスターがいない人生を歩め。
過去生で一緒にパリで働いていた話。
そんな話をして、最後にマスターが歌う。
それを聞いて涙するフレディ。ここの一連の表情が、なんとも...素晴らしい。「人間」の味がしみ出てる感じ。人間の味がめちゃくちゃしてる。
もうほんとに、ストーリーということに触れる前に
この映画におけるホアキンフェニックスの演技を取り上げることに精一杯になってしまう。むっずかしい役だよほんと。複雑な役。演じ切ってるよ、すごいほんと。
マスター役を演じたフィリップ・シーモア・ホフマン、彼の演技も良かったなあ。
人と人との掛け合いのシーンを、ゆっくり静かに集中して見られる撮り方、演出の仕方は好きだったな。好みだった。
激しいところは激しく。味わうべきところはゆっくり味わわせてくれた。
p.s.
今作でのホアキン、細身だったなあ。身体仕上がってたなあ。顔もバッキバキ。無駄なものがなく、ホアキン作品の中でもキレキレなホアキンを見れた気がした。男前だった。男臭くて色気がめちゃくちゃあった。
シャツ、パンツスタイルもキマってた。
p.s.2
あのフレディが作ってたドリンク、一体何が入ってんの?笑
人間が飲めるものなの?笑