劇場公開日 2013年3月22日

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「飼いならそうとした男と飼いならされそうになった男」ザ・マスター いずるさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5飼いならそうとした男と飼いならされそうになった男

2013年4月19日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

怖い

興奮

知的

過去の悲しみを克服する
過去の苦しみを取り去る
そしてその苦しみから解き放たれた体験は
人々を感服させ、男を尊敬の念を込め『マスター』と呼ぶ。

フレディ・クエルの奔放かつ粗暴な心をなんとか人間社会に適合させようと
『マスター』ランカスター・ドッドは様々な方法を用いて
性格を矯正しようとします。

矯正シーンは見ていて辛い。
洗脳に近い方法で、嫌なことを言われても反応しないという教育や
想像力を鍛え自分の目の前にあることだけにこだわらない教育がなされます。
もっともそんな教育に耐え、逃げ出さなかったのも
フレディが『マスター』を信頼していた為でしょうが・・・
見ていてちょっと引くくらいつらそう。

人生の一時期、洗脳的な教育を施されるがそれも過ぎ去って、新しい今を生きる男の話。
残ったのは少し穏やかになった性格と、『マスター』から受けた教育の名残。
『マスター』に残ったのは自分の教育が上手くいかなかったことへの敗北感?か、どうかは知りませんが。

洗脳的教育で性格を矯正したからこそ、
昔の女が自分を待たずに結婚したと聞いても穏やかに居られた。
自分の歪んだ性格を強く持っていても幸せになれない、なら
矯正された性格で穏やかに生きることが幸せ、なのかもしれません。

といっても、フレディは自ら進んで『性格を直してくれ』と選んだ訳ではありません。
そこがこの映画の問題点であります。

『人は他人から押し付けられた幸せでも幸せになれるのか?』

いずる