劇場公開日 2013年3月22日

  • 予告編を見る

「父と子の物語。そして陰の主役、エイミー・アダムス。」ザ・マスター マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0父と子の物語。そして陰の主役、エイミー・アダムス。

2013年3月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

難しい

精神論的なディスカッションが苦手な私としては、溶け込めない部分があり睡魔に襲われるが、フレディを戦場から戻ってきた息子に、そして“マスター”を故郷の父に置き換えてみると、二人の関係や互いへの思いがやや理解しやすくなる。

命の遣り取りをする前線を経験し、やり場のない心の逃げ場がアルコールで、その成分は精神の病みに合わせるように危険度をエスカレートさせていく。帰還してもフレディを癒してくれるものは結局アルコールだけ。
フレディにとって、自分を理解してくれる人間かどうか、その判断のバロメータは自身が作ったスペシャルドリンク(何を混合したかわからない危険なアルコール)を喜んでもらえるかどうかだったのではあるまいか。

初めてスペシャルドリンクを心から旨いと言ってくれたのが”マスター”だ。
フレディはやっと故郷に帰って来ることができたと感じたに違いない。
そこから続く二人の蜜月は、無事再会を果たした父子の喜びのようであり、息子が父の事業を手伝いながら元の社会に適合していくかのようだ。
そして二人の間に生じ始める亀裂は、息子の遅咲きの反抗期のようであり、厳格な父と母への反発と独り立ちの兆しでもある。

この作品は、父の生き方に共感し手本として生きた息子が、自分本来の生き方を見つけて旅立つ物語だ。
それにしても、親父を陰で支え、叱咤して操るのは、やっぱり妻なんだな。陰の主役・・・エイミー・アダムス。
そして音楽と色彩が綺麗だ。

もし[印象]に「虚しい」という項目があったならチェックを入れる。

マスター@だんだん