劇場公開日 2013年3月22日

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「意味不明を求める」ザ・マスター xtc4241さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5意味不明を求める

2013年3月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

興奮

主人公のホアニン・フェニックスは異常だ。
なんていえばいいのか。眉がやたら濃くて、目はやたら深い。
鼻と口は変な方向に曲がっている。
歩くしぐさは完全に歪んでいる。
その暴力性は刑務所のトイレを蹴り壊した。

マスター(教祖役)のフィリップ・シーモア・ホフマンはまだマシ。
確かに歪んではいるが、まだロジック部分も捨てていない。
それでなくちゃ、集団を束ねることはできないだろう。
論理性と頂上性が危ういバランスをとっているんだが、
ホアニンが出てくるともう一方の破壊力が頭をもたげてくる。

そんなふたりを相手にするのがマスターの妻、エイミー・アダムスだ。
彼女のこれまでの女優業はすごくまともな役が多かった。
クリント・イーストウッドの娘役で出た「人生の特等席」なんか
その典型だし、「ダウト」の清純派シスターなんてのも
普通のひとの感覚だったし、そこに安心感をもたらしていた。

そういえば、「ダウト」では、
厳格なシスター校長役のメリル・ストリーブと、この映画に出てくる
進歩的なホフマン神父の確執に少し似ているかもしれない。
その間を行ったりきたり、迷いながらも正常を保つエイミーがよかった。

でも、この「ザ・マスター」では違っていた。
子どもをもつ母親として、当然、マスターの側につく。
歴然として、果然としてホアニンを叩き潰そうとする。
叩き潰すには策はいらないのだ。
夫は彼に興味はあるのだが、無視するように仕向ければいいのだ。
そんな狡猾な女、母親を演じていたエイミーもよかった。

この映画と同じように、僕のレビューも行き当たりばったりで、
脈絡なく進んでいくのだった。それでいいのだろう。

xtc4241